これから重要視される「口腔内ケア」

噛むことがこれほど重要であるなら、噛むことだけではなく、食べることや味わうことも担っている、口腔内の重要さは言うまでもありません。

老人の死亡原因の第3位に肺炎が入った時に、肺炎の防止には口腔内ケアが必要だということになりました。口の中の菌が、知らない間に唾液と混ざって肺に入って肺炎になるからです。そこで老人に口腔内ケアをしてもらったところ、その副産物として、認知症予防にも効果があるということが分かりました

口の中をきれいにすると、なぜ認知症予防になるのか? それは口の中の環境が良くなってくると、よく喋るようになるとともに、よく噛むようになるからです。

口腔内の環境を良くすることは非常に有用だということが分かってきて、最近では病院でも「口の中をきれいにしましょう」と積極的になってきました。

また、最近は唾液の働きも見直されています。実は唾液というのは一日に何リットルも出ていて、寝ている間にも出ています。

そんな唾液には洗浄作用があります。唾液腺からアミラーゼが出ていることから余分なタンパク質を分解してくれるので、変な菌を全部殺菌してくれます。

しかし、口腔内でも唾液がうまく流れない部分もあります。頬の裏側などには唾液がたまらない部分があって、そこだけは殺菌できません。そのため、やはり歯を磨いたり、うがいをしたりしなければいけません。

のどは複雑な構造をしていて、気管と食道に分かれるところに汚れがたまってしまいます。そこをきれいに保つためにも、うがいと歯磨きはするべきでしょう。特に食後、歯磨きはおっくうだという人は、少なくともうがいは心がけてください。のどに何も詰まっていないと思っても、うがいしてみると不思議なくらいに何か出てきます。

歯磨きをして口の中をゆすいできれいだと思っても、2~3回うがいしないときれいになりません。なぜなら、肺のほうに間違って食べカスが入らないようにのどの奥はネバネバしていて、そこに付着したものがうがいによって出てくるからです。食後はうがいを3回、これを忘れずに実行してください。寝る前にうがいするだけでも全然違います。噛むこと、うがいすること、このふたつが健康な生活を送るにあたって重要です。

▲今後、重要視される「口こう腔くう内ケア イメージ:PIXTA

※本記事は、今津嘉宏:著『115歳が見えてくる“ちょい足し"健康法』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。