政府の緊急経済対策が、ようやくまともな方向に軌道修正されたにもかかわらず、それを正しく認識することなく、見当違いな批判をするようなメディアが存在している。経済一筋50年のベテラン記者・田村秀男が説く日本経済復活の処方箋!
軌道修正されていった緊急経済対策
私は常日頃から、日本人には経済感覚が優れている方が多いと思っています。タクシーに乗っていても、飲食店に行っても、飲み屋さんの店主と話をしていても、それを実感します。政府が当初掲げた108兆円の緊急経済対策のような“ごまかし”は、こういう方たちには通用しません。
政府は2020年4月27日に、国民一人当たり一律10万円の現金給付を盛り込んだ、補正予算案(第一次)を国会に提出し、同日には日本銀行も無制限の国債購入や、企業の社債などの購入枠拡大を決定しました。
最初の“ごまかし”の緊急経済対策が、世間の厳しい批判を浴びたこともあり、ここで政府がしっかりとカネを使い、日銀がその資金繰りを支援していく姿勢を、一応は示したというわけです。
財政政策と金融政策を組み合わせて、目標を達成していく政策方法のことを「ポリシーミックス(Policy mix)」と言います。
西村康稔経済再生担当大臣は4月27日の会見で、日銀が政府の緊急経済対策の資金繰りを支援する体制を整えたことを評価し「政府と日銀のポリシーミックスを強化するもの」との見方を示していました。確かに、これで形のうえでは財政・金融の両輪を組み合わせた経済政策が打ち出されたことになります。
本来なら、消費税の減税も合わせて行うべきなのですが、ひとまずはこの4月27日の決定で、緊急経済対策がようやくまともな方向に軌道修正されたと言えるでしょう。
その後、6月12日成立の第二次補正予算でも、事業規模117兆円のうち、真水の財政支出33.2兆円が盛り込まれ、第一次補正の財政支出27.5兆円と合わせて約60兆円、日本のGDPの1割強相当まで財政出動が拡大しました。
これはリーマン・ショック後の経済対策をはるかに超える金額です。
ただし、このおカネがしっかりと有効的に使われていくかは、これから我々国民がチェックしていかなければなりません。