『M-1グランプリ2020』で2位となったお笑いユニット・おいでやすこが。賞レースで結果を残してきた実力派ピン芸人である二人に『M-1』後の活躍、ネタについて、そしてピン芸人としてのこだわりなどをたっぷり語ってもらった。

※本記事は『+act. ( プラスアクト )2021年4月号』(ワニブックス:刊)より、一部を抜粋編集したものです。

1日3本収録の3本目は、目が半分しか開いてない(笑)

賞レースで結果を残してきた実力派ピン芸人、おいでやす小田とこがけんの二人からなるユニット・おいでやすこが。

昨秋、ひとり芸頂上決戦『R-1ぐらんぷり』のリニューアルが発表され、芸歴10年以内の大会となったことで出場資格を失った二人。目標を絶たれながらも、2019年から挑戦していた『M-1グランプリ』で昨年、数々の猛者を退け、決勝進出を果たしたのみならず、決勝では2位。

こがけんのポップな視点が光る歌ネタ、おいでやす小田のコントで培った構成力とツッコミという、それぞれの武器を最大限に活かした漫才で、新風を巻起こした。今年はユニットでの活躍が期待されながらも、ピン芸人としての活動も続けると言う。その信念は、ひとり芸を極め続けてきた自負に満ちていた。

――『M-1』決勝後、慌ただしい日々を送られていますね。いろんな番組にも出演され、今までとは違った経験をたくさんされている最中だと思います。

おいでやす小田(以下、小田) ありがたいですね、本当に。最近はメディアのお仕事ばかりなので、どこへ行っても新しい経験ばかりで。

こがけん 昔はテレビに出るのが決まったら、1カ月くらい前からいろんなネタを練ってから出てましたし、出演後に今回はこうだったから次に活かそうとか考えていたんです。けど、今はすぐ次が来る。……こんなにありがたいことはないなと思うと同時に、ひとつずつに集中力の全てを注げないもどかしさもあるんですよね。1日3本収録があると、歳を取っているということもあって(疲れがすぐ溜まって)オンエアを見たら目が半分しか開いてないじゃん! って思うこともあったりして。

小田 ほんまにそうですね。けど、いろんな番組に出させてもらうことで、ここで一発スベっても次で取り返せばいいわって思えるようになったので、いい精神状態ではありますね。

――ユニットを組む前は、お互いをどんな風に見ていたんですか?

こがけん 小田さんは『R-1』で見る面白いコント師。でも、順番には恵まれてない人っていうイメージでした。

小田 こがけんのことはもちろん知ってましたけど、吉本やというのは知らんかったし、こんなに芸歴がいってるのも知らんかったし、こんなに歳いってるのも知らんかった。もっと若い他事務所の後輩やと思ってましたね。

こがけん 僕の情報は、ほぼゼロだったってことでいいですか?

小田 (笑)。こがけんっていう、ひらがな4文字だけ憶えてた。まぁ、2年前の『R-1』決勝まで、会うことがなかったですからね。僕は大阪におったし、こがけんは東京やったし。

――特に、こがけんさんの経歴は特殊ですもんね。芸人になってすぐコンビを解散して、板前さんになってまた芸人として復帰しましたから。

小田 そうなんですよ。板前は5年?

こがけん 6年です。最近、板前のときに働いていた飲食店へロケに行くことがあって、それで小田さんは僕の経歴をやっと知ってくれてます。