引き締まった体のビキニ姿や、一糸まとわぬ背中のバックショット……ほどよい筋肉や、くびれが見事な肢体を披露した写真集『FUJI AYAKO』(講談社)が話題の藤あや子。『NHK紅白歌合戦』出場21回を誇る日本一美しい演歌歌手は、着物を脱いでもすごかった。恵まれた容姿に加え、アスリートかと思うようなストイックなトレーニング、食生活で作りあげた“美”。

演歌歌手という肩書に頼らず、縛られず、彼女の活動もまた幅広い。得意の料理はもちろん、近年はSNSで愛猫マルちゃん、オレオちゃん(通称マルオレちゃん)との猫生活を披露し、メディアにも引っ張りだこ。そのフォロワー数は、インスタとTwitterを合わせて33万人もいる。夢はマルオレ・フェス。歌手生活35周年を迎え、ますます若々しい藤あや子を直撃した。

▲撮影 : 市川宝

年齢を重ねていく毎に女性は輝けるってことを発信したい

――写真集企画について聞いたときの最初の感想を教えてください。

 実をいうと、最初は写真集を発売するというお話ではなかったんです。自分のライフスタイルについてのエッセイ本を出す予定で、そのための写真を撮影しようとしていたんです。ところが、いざ撮影が始まってみると、なんだか次々といい写真が撮れて……。『これはエッセイ本ではもったいないんじゃないか』と急遽、話が変わっていったんです。自分でも本当にびっくりしてます(笑)。

――なぜ、60歳の今だったんでしょう?

 今がちょうど、いいんです(笑)。やっぱり、年齢を重ねていくごとに女性は輝けるんだっていうことを伝えたい思いがあって。“もう歳だから”とか、そういう言葉は捨てて、美しく歳を重ねていきましょう。そう、女性の立場から発信をしていきたいんです。皆さんに写真集を見ていただいて、私も頑張ってみようかしらという、ひとつのキッカケになればいいなと思っています。

――写真集のテーマはありますか?

 私は今まで歌で女性を表現してきました。ですが、一生懸命生きている女性の美しさみたいなものを歌に限らず、この写真集などあらゆる角度から表現してみたいと思ったんです。年齢を重ねると、悩みや苦しみも増えます。でも、年齢によって美しさは失われてしまうのではなく、逆に輝けることもあるはず。生きることにもっとどん欲になってほしい。そういう思いをテーマにしているつもりです。

――それで、“今”なんですね。

 やっぱり20代、30代は、黙っていても綺麗です。努力しなくてもそのままで十分。でも、40歳を過ぎてからは自己責任。私自身、50歳ぐらいになったときに“ああ、このままじゃいけないな”という思いが芽生えました。もちろん着物を着た演歌歌手の場合、そこまで肌を露出するわけでもないですし、演歌を表現するにあたっては、そこまで体を鍛える必要はなかったかもしれません。でも果たして、それでいいのかなって。立場に甘んじていていいのかな。ひとりの人間としての魅力をレベルアップしていかないと、歌の表現だってどんどん劣化していくんじゃないのかな。そう思って始めたのがヨガでした。

▲ 撮影 : 市川宝

50歳を過ぎてから始めたヨガとの出会い

▲撮影 : 市川宝

――ヨガは50歳になってから始めたんですか。

 そうなんです。まさしく50の手習いというか。50歳になっても始められるもの、と考えたときに、以前から興味のあったヨガが思い当たりました。自分の好きなこと、自分に合ったものしか続かないと思うので、たまたまヨガは私に合ったんでしょうね。ヨガと出会い、徐々に自分らしく生きるという考え方になっていきました。歌手とか、そういう肩書はいらない。人間として輝いていかなきゃいけない、という思いに切り替わっていきました

――50歳で、これじゃいけないと思った具体的なキッカケはあったんですか。

 49歳のときに突発性難聴を患いました。当時から食生活にも気を配って、自分でちゃんとバランスを考えてお料理をしていたにも関わらず、病気になってしまった。それがキッカケで、自分の体と向き合おうという考えに至りました。ただ、そうは言っても、まだまだお酒もガンガン飲んでいたし、運動といっても、ヨガをちょっとやっていたぐらいだったんです(笑)。

ところが、3年ほど前にジェニファー・ロペスのファッション誌の記事を見まして。50歳とは思えないキレイなボディーラインをしていたんです。そこには彼女が日ごろ、やっているルーティンが掲載されていたんですが、トレーニング、糖質カットといった項目のなかに“アルコールNG”と書いてあって……。もしかしたら、私の脇腹のぜい肉が取れないのはこれかも! と、お酒を断ってみようと思い立ちました。駄目だったら駄目で、また飲めばいいという軽い気持ちでスタートして、3年経ちました。その間、お酒は全く飲んでいません。

――そのほうがやっぱりコンディションが良いですか。

 とてもいいです。朝起きたら、顔がむくんでいることもなくなったし、よく眠れます。運動もしていますから。体を動かしたら、人間は眠れるものです。

――運動とはヨガですね!

 歌番組に行くと、皆さん楽屋で発声練習などをされていますが、私は全然必要ありません。週4日、リモートでヨガのレッスンを受けているのですが、そこで呼吸法などを集中してやることで声がスムーズに出るようになって。ヨガは毎朝、プロテインとアミノ酸のドリンクを飲みながら、1時間ぐらいやっています。本当に変わりました。

▲撮影 : 市川宝