お世辞に対する返しは難しい

最近、現場で会う方々に「みなみかわ君、調子がいいね」と言っていただく機会が増えた。「たまたま」が重なっただけなのに非常にうれしい話である。

問題は、それに対する返しだ。私はいつも返しに困っている。調子の良くない18年間に慣れすぎて、どう反応していいかわからないからだ。

「いえいえ全然ですよ、まだまだ」なんて言うと、意識高いヤツだと思われるかもしれない。なんかしらの居心地の悪さを感じる。

「ほんまにね、絶好調ですわ!」とカラッと言うのが一番芸人的かもしれないが、その夜、眠りにつくとき「嫌なヤツって思われたかな?」と後悔しそうだ。

どんな返しが正解なんだろう?

「ここからが復讐の始まりですよ」……距離を取られそうだ。

「もういつ死んでもいいですね」……大袈裟すぎる。

「松竹芸能はそれどころじゃないんですよ」………………。

テレビでどれだけ悪態をつこうが、調子の良くない18年が体に染み付いていて、何を言っても「裏で何を言われるかわからん」と思ってしまう。

確か去年あたり、ヒコロヒーに「ヒコちゃん調子いいね〜」なんて呑気に言ったとき、彼女はなんて返してたかな?

確か「わしも芸能界やらせてもうてますわ」みたいなことを言っていた。

さすが。

嫌味がなく絶妙なライン。

サラッと言っていたが、もしかすると結構考え抜いたのかもしれない。さすがヒコ様。

恥も外聞もなく私も使いたいと思う。

この先、私が仮にTVに出続けたとして、「自分は売れた」と感じるのはいつだろうか?

芸人が売れるまでの時間について考えてみた。

長く苦労してようやく売れる、というストーリーを皆が好きなのはわかる。私も好きだ。

カンニング竹山さんが苦労して「もう売れんでいいわ!」と開き直ったら売れ出したのが、だいたい32~33歳くらい。

バイキングの小峠さんが苦労して「なんて日だ!」で売れたのが、だいたい36歳くらいだった。