自分が売れるのは何歳だ?

どうだろう?

先の二人は、もっと上の年齢でブレイクしたイメージを抱いていたが、二人とも30代で売れている。それでも、当時は「相当苦労したんだろうな〜」という気がしていた。

私は今年で40歳だ。軽く先人たちの年齢を超えている。カツオが、いつの間にか年下になっていた気分である。

40歳ともなると、残された時間は当然少ない。

この先、奇跡的に売れて、仕事がひっきりになしにある状態は、どれだけ甘く見積もっても10年が限界だろう。

その昔、「テレビに出ること自体はさほど難しくないが、出続けることが極めて難しい」と誰かが言っていた(浜田さんだったかな?)。

私は現時点で残り時間が少なめではある。

そうなると、下積みが長い芸人の必殺技「自虐」を繰り出したい。どんな立ち位置でも必殺技を繰り出すのが私の思い描く強芸人だ。

しかし悲しいことに、その必殺技も封じられた。

なぜか。

錦鯉という50歳で売れるバケモノが現れたからだ。

たくさんの芸人が錦鯉に自分を重ねて夢見たことだろう。もしかしたら、とんでもない悪夢かもしれないけども。

竹山さんや小峠さんをも超える麻薬が芸人界に蔓延している。

その怖さを本当の意味で痛感するのは数年後か。

そう考えると、逆に20代で売れることのすごさもわかる。

松竹芸能だと、よゐこさん。

早くに売れて、そこから最前線に何年いるのだろう。30年くらいか。そのすごさにちょっと引く。

30年売れ続けてる芸人と、約20年売れてない芸人はマインドが違うと思う。ちょっと言いすぎかもしれないが、職種が違うのではないか、とさえ思う。

だから、よゐこさんと同じことをしていてはいけないのだ。ともかく私には時間がない。

そうなると「調子いいね」と言われたら、どう返そうなんて悩みは、とんでもなく瑣末なことだ。

「調子いいよ!」と返して、ネタを作るなりYouTube動画を考えるなり、きっと他にすることがあるはずだ。

「調子いいね? うるせえ!」でもいいかもしれない。

いや、もうはっきりと前置きなしに「自分には時間がないんです!」と言おう。さらに、そのときの顔は漫画『カイジ』の賭けで負けたときのような「グニャ〜」となってる顔だ。

もう話しかけても来ないだろう。

よし、まず芸人が売れた年齢を表にして養成所の壁に張りに行こう。

(構成:キンマサタカ)

『みなみかわのないないはなし』は、次回9/13(火)更新予定です。お楽しみに!!


プロフィール
 
みなみかわ
1982年生まれ。大阪府出身。2015年7月〜2019年1月まで「ピーマンズスタンダード」として活動。 平成25年度 漫才新人大賞決勝進出。呼吸法で痛みをなくすロシアの武術「システマ」を体得。2008年にはピンで『あらびき団』(TBS)でプチブレイク。『エンタの神様』(日本テレビ系)にも定期出演。『ゴッドタン』(テレビ東京)、『お笑い向上委員会』(フジテレビ)、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)、『水曜日のダウンタウン』(TBS系)など人気番組への出演が続き、再ブレイクの予感がする39歳。Twitter:@p_minamikawa、YouTube:みなみかわ