欧米視点=安倍元首相は「リベラルな政治家」

日本のメディアは安倍元首相が軍国主義者の超保守であるような印象を与える報道ばかりしてきました。ところが欧米の国々の視点からすると、安倍元首相は「リベラルな政治家」であり世界の秩序の安定を願った素晴らしい政治家なのです。

日本のメディアに触れていると意外ですが、経済政策に関して批判もあったが軍国主義者とか排外主義者という見方はほとんどありません。これは他の国では安倍元首相をイメージで見るのでなく、実際に決定した事柄や政策で判断しているからです。

▲日本と欧米、安倍元首相の評価には乖離がある イメージ:ペイレスイメージズ1(モデル) / PIXTA

このような見解を証明するのが世界各国から届いた「お悔やみメッセージ」です。

最も驚かされたのが、先ごろ亡くなられたエリザベス女王が直々に天皇陛下に対してお悔やみのメッセージを迅速に送ったことです。これは元首相に対するお悔やみとしては異例の対応であり、安倍元首相はアメリカ大統領に匹敵する立場だったのです。

エリザベス女王は遠回しに自分の外交的な意図や好みを示すことで知られていますが、中国の習近平国家主席がイギリスに国賓として訪れた際に手袋をしたまま握手をしたり、トイレの前に座らされたりした対応と比べると格段の差です。エリザベス女王は日本という国をたいへん重要視しており、尊敬しているだけではないのです。

通常政治家というのはヨーロッパの階級の序列からすると、あくまで王族よりはるかに格下で公僕にすぎません。王族にとっては有権者から選ばれた人々であっても単なる使用人とみなしているのです。

したがってお悔やみの対応も、王族や皇族に対するものと政治家に対するものでは異なっています。ところが今回の安倍元首相への対応は、他の国の王族へのそれに匹敵するものでした。つまりエリザベス女王は安倍元首相を個人としてたいへん尊敬し、世界各国の王族や皇族に匹敵する品格と上品さがある素晴らしい人物と認めていたのです。

日本の一部メディアが報道するような超保守主義の軍国主義者であったら、女王さまはこんなお悔やみのメッセージを送ってこないでしょう。ドイツとの戦争を体験した女王さまはファシズムや独裁国や軍国主義者は大嫌いだが愛国主義者は尊敬するのです。

この意味をよく理解していない日本人があまりにも多すぎるのは実に残念ですね。

この件に関して、安倍さんの外交政策が歴代の総理大臣をはるかにしのぐ優秀なものであったことがよくわかります。