治安の良さは世界随一、銃規制が最も厳しい日本で起きたことで驚きがあった安倍元首相の暗殺事件。現在、この事件を発端に政治と宗教の繋がりについて意見が紛糾していますが、安倍元首相が行った政治的な手腕についての検証も行われるべきではないでしょうか。
日本では在任中から賛否両論があった安倍政治。それでは、海外ではどういう評価だったのでしょうか。実は海外ではアメリカやヨーロッパ大陸では、安倍元首相は日本における戦後の最も偉大なるリーダーであり優秀な政治家であると高い評価が下されていた、と語るのは元国連職員で世界事情にくわしく、ツイッター上では「May_Roma」(めいろま)として舌鋒鋭いツイートで好評を博する谷本真由美さん。
一体、どのような点が評価されていたのでしょうか。
※本記事は、谷本真由美:著『世界のニュースを日本人は何も知らない4』(ワニブックスPLUS新書:刊)より一部を抜粋編集したものです。
実は海外で評価されまくっていた安倍元首相
2022年7月8日、大変衝撃的なニュースが飛び込んできました。安倍元首相の暗殺です。あの平和な日本でこんな事件が起きるとは……。あまりのショックに数日間食事が喉に通らなかったほどです。
海外ではこの事件はどのように報じられており、特にイギリスをはじめヨーロッパではどのような反応があったかお伝えします。
イギリスでは連日トップニュースで伝えられていました。「安倍氏は暗殺され警備上の不備があった」とはっきり述べられていたんです。英語で暗殺のことはアサシネーションというのですが、これは「政治的意図があって有名人や政治家を殺害する」と言う意味があります。
つまりイギリスや他の英語圏の報道では単なる殺人事件ではなく、なんらかの背景があることを最初から意図していたわけです。これは他の国では元首相であっても、安倍さんが重要な政治家であることを意識しているということです。
このニュースは日本という国で起こったことでも大変なショックを与えました。
イギリスなどヨーロッパでは日本の治安の良さがよく知られており、銃規制も最も厳しい国であることがさかんに伝えられているからです。ウクライナ侵攻で心を痛めている人が多いなかで、このような事件が日本で起きてしまったことに衝撃を受けているイギリス人はたいへん多いです。
二点目に注目すべき点は、日本のマスコミでは報道されていませんが、イギリスだけではなくアメリカやヨーロッパ大陸では、安倍元首相は日本における戦後の最も偉大なるリーダーであり優秀な政治家である、と高い評価が下されていたことです。
とくに「自由で開かれたインド太平洋戦略」を実現するため、安全保障体制の構築で中心的な役割を果たした点が絶賛されています。これは中国の軍事的台頭が欧米でも大きな懸念点であり、東アジアは軍事的に最も不安定な地域だからです。
日本の人は実感していませんが、日本の周囲は軍事的にも政治的にも世界でもっとも不安定な地域です。ロシアや中国、北朝鮮だけではなくインドやラオス、ミャンマー、ベトナム、マレーシア、インドネシアといった“難しい国”がずらりと揃っている。先進国だらけのヨーロッパに比べたら政治的な舵取りがずっと難しいのです。