近年の世界情勢を見て「日本は民主主義でよかった」と思ったことがある人もいるだろう。しかし、なんでも多数決に頼ったやり方は本当に民主主義と言えるのだろうか?『教えて! NEWSライブ 正義のミカタ』での無双コメントが話題のお笑い芸人・ほんこんが、日本の未来を考えた政治の在り方を提言します。
※本記事は、ほんこん:著『日本のミカタ - ボク、この国のことを愛してるだけやで! -』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。
ゆるい“独裁”が国を動かすのはダメですか?
お笑い芸人が常にお客さんのことを考えなければいけないように、政治家っていうのは常に国民のこと考えなきゃいけないはずです。
政治家がどれだけ支持されるのかというと、それはやっぱり政策の良し悪しだと思います。お笑いでいうところの「ネタ」ですね。
政治家は票の集まりで評価してもらって、芸人は笑ってもらえたかどうかで評価してもらえます。政治家の場合だったら、「この人はよう動いた。ようやった!」って有権者に納得してもらえたかどうかですよ。
ただ、申し訳ないけど、政治家ひとりで世の中を変えられるかっていったら、そうではありません。みんなは「この人が総理やったから、世の中が変わったわ」って言うかもわかりませんが、「いやいや、周りに協力者、実行者がどれだけおんねん」って思います。でも、それを束ねた総理とかその時の指導者が、いろんな人らの意見に耳を貸して、その人らの気持ちになって、悩んで動いたわけです。
「悩まな、人動かされへんから」――本田宗一郎さんの言葉ですわ。いや、本当はこんな大阪弁じゃなかったと思いますけどね(笑)。
ボクね、本田宗一郎さん、大好きなんです。理想のリーダーですよ。
ホンダは、本田宗一郎さんが立ち上げたオーナー会社。一国にたとえるなら、はっきり言って独裁国家ですよ。あんな自転車にエンジン付けただけのような原チャリからスタートして、世界的なメーカーに成長するまでのスピードは、本田さんが独裁者やったからこそできたものだと思います。
まだ四輪車を発売してもいないオートバイメーカーにもかかわらず、「世界最高峰のF-1に参戦していこうやないか。そして未来は飛行機や!」って、トップダウンで大きな目標を掲げ、社員を動かしました。だから、F-1では80~90年代に世界一に6年連続で輝き、航空機も国産化に向けて今まさにすごい動きになってるじゃないですか。
ああいう人がおることで会社が理想を追求できるのだったら、いいリーダーがおれば国でもできるのじゃないかなと思うんですよ。
だから、民主主義という枠組みでの独裁……「強いリーダー」という言い方のほうがいいかな。とにかくトップダウンで国を動かせるような「民主主義の中の本田宗一郎」っていう感じの人が出てこないかなと期待してます。
つまり、あくまでも民主主義ではあるんですけど、ある程度強引なこともしなければ国を動かすのは難しいので、ゆる~い独裁国家がいいなと個人的には思っています。
日本政府には長期視点を持ってほしい
「独裁」と言うたら、誰もがヒトラーみたいな感じをイメージするかもしれませんが、そうではなくて、リーダーシップの強い野球の監督みたいな感じね。
プロ野球チームでもサッカーチームでも、リーダーシップが強くて、しっかりしたヴィジョンを持った実行力のある監督がいれば強いじゃないですか。ある意味、監督の独裁だからペナントレースを戦えるのではないでしょうか。
プロ野球チームなのに、民主主義でスタメンとか決めてたら勝てないやろ(笑)。いちいち多数決で先発投手やら代打やら決めるチームなんて優勝できっこありませんって。そもそも監督がいる意味ないですやん!
選手個々の不満を聞いてたとしても、決めるのはすべて監督。その代わり、ごっつう責任もありますけどね。
やっぱり本田宗一郎さんみたいな強いリーダーがおってね、藤沢武夫さんみたいな専務がおって、「営業、経営の面は私がやるから、本田さんはエンジンだけつくっとってくれ」という感じでポジショニングを明確にして国家を運営していったら、すごいいい国になっていくと思うんですよ。
どういうことかっていったら、本田さんが与党で、営業は野党になればいいとボクは考えています。
「もっと売りたいねんけど、エンジンいまいちやぞ」と、与党に文句言うのが野党。で、「この予算でエンジン開発すんのも大変やから、もっと営業利益を増やしてくれや」とか、野党に文句言うのが与党。
そんで、「お前、エンジン開発あかんからオレらがやるわ。ほんなら今度はお前らが営業しろや」っていうのが政権交代。そういう感じが理想的な二大政党制じゃないんでしょうか。勤務先はどっちも日本国。それで国会が一枚岩になればすごくいいと思いませんか?
ボクが一番いけないなと思うのが、政権を取ったら自分らの色を出そうとするために、目指していたものや理想が変わること。前の政権との違いをアピールしたい気持ちはよくはわかりますが、政権与党が変わろうと、国として目指しているものはフラフラ変えてはいけません。