「違和感」を持てればマスコミより先に真実を知れる

― 一つのニュースをできるだけ多くのメディアで見比べましょう ―

▲疑問はニュースの真相を知るチャンス! イメージ:metamorworks / PIXTA

ニュースに使われる名称や用語に限らず、ニュースを見ていて「あれ?」と違和感を持ったら、それはそのニュースの真相に迫れる最大のチャンスだと思ってください。

同じニュースを出来るだけ多くのメディアで見比べていると、たいてい「あれ?」という疑問が湧いてきます。

例えば、はじめから違和感のかたまり、というニュースもあります。

2014年3月に起きたマレーシア航空370便が謎の失踪を遂げたというニュースでした。クアラルンプールから北京に向けて出発したボーイング777型機が、離陸から一時間後に突然レーダーから機影が消え、同時に交信がとだえ消息を断ったのです。

事故なら普通発信されるはずのメーデー(救難信号)も発せられず、南シナ海上空で姿を消したのです。すぐに南シナ海一帯を捜索しましたが、機体の一部どころかジェット燃料さえ発見されませんでした。

墜落ではないとしたらハイジャックか、との説も浮かびました。

しかしハイジャックされたら発信されるはずの、ハイジャック信号もなかったことから、撃墜説、テロ説など様々な憶測が飛び交い、まさにミステリー小説を超える航空史上最大のミステリーをリアルタイムで(もちろん事件・事故に巻き込まれた方は心配でしたが、謎の多いニュースとして)「楽しめる」ことになったのです。

その後は毎日、各国のニュースに怪しげな情報が散見されました。それらをジグソーパズルのように組み合わせながら、事件か事故かもはっきりしないこのニュースの真相に迫っていく作業は、知的好奇心を満たすにはうってつけでした。

事件の真相は今もまだ藪(やぶ)の中です。行方不明になって五日後に、実は飛行機は南シナ海上で消えたのではなく、西に針路を変えてさらに六時間も飛行を続けていたのだという衝撃の事実が、二名の米連邦捜査官による『ウォール・ストリート・ジャーナル』へのリークで分かりました。アジアの小国の捜査当局が五日間も南シナ海を捜索していたのは、まったく無意味だったのです。

中央アジアかインド洋に向かって飛行を続けていたとみられ、おそらくインド洋に墜落したのだろうということで世界のニュース合戦は収束しました。しかしインド洋からも機体は見つからず、原因についても謎のまま迷宮入りしてしまったというわけです。

私はこのニュースを追いかけながら、ブログを次々に更新して楽しみました。

そして今でも違和感があるのは、真っ先に原因究明にあたるべきボーイング社と米連邦航空局が南シナ海での捜索に参加せず、軍事用の航空情報にかけては世界一である米軍の情報が五日も遅れて出てきたということです。

この違和感は永久に解消されないでしょう。

ニュースの違和感を見つけるには、一つのニュースをできるだけ多くのメディアで見比べることです。それも国内のマスメディアだけではなく、海外のニュースでどう扱われているかも見比べてみるとよいでしょう。

テレビならCNN、新聞なら『ワシントン・ポスト』『ニューヨーク・タイムズ』『ウォール・ストリート・ジャーナル』あたりで十分。経済問題や国際問題など、世界に関わる大きなニュースは、海外のニュースメディアでも扱われていることが多いのです。

二〇一四年九月上旬、日本のニュースは慰安婦問題をめぐる朝日新聞の大誤報の話題一色でした。

ポイントは「朝日新聞が、吉田清治なる元日本軍の人物の偽の証言を元に、済州島で従軍慰安婦の強制連行をした、という誤報を出して三十二年間も放置したために、これを根拠に国連に報告書が出された。それによって日本の国際社会における名誉は大きく傷つけられた。朝日新聞は責任をもって証言が嘘であったことを国際社会にアピールせよ」というものでした。

国際社会というくらいだから、この偽証言の問題はさぞかし海外でも報じられているかと思いきや、誤報問題や偽証言の記事はありません。私はそこに違和感を持ち、吉田証言がどれほど国際社会に影響を与えているか、「クマラスワミ報告」を読んで検証しブログに書きました。

『ウォール・ストリート・ジャーナル』が書いているように「慰安婦問題、米国は朝日や吉田証言に影響受けず」が真実だったのです。

日本中の大方のニュースが書いていることに真っ向から異論を唱えたものだから、ブログは大炎上しましたが、程なくして真実が知れ渡り落ち着きました。このように日本中のマスコミより先んじて真実を知る楽しみさえ、個人でも持てるのです。

▲マスコミよりも一足先に真相を知る楽しみ イメージ:metamorworks / PIXTA