「プーチンと27回も会談した」結果は

統一教会との問題を抜きにしたとしても、これまで安倍がやってきたことは、国家、社会、法の破壊に他ならなかった。

安倍政権下では、省庁をまたがる大規模な不正が発覚した。入管法改定に関する法務省のデータ誤魔化し、森友事件における財務省の公文書改ざん、南スーダンPKOにおける防衛省の日報隠蔽、裁量労働制における厚労省のデータ捏造(ねつぞう)、国土交通省における期間統計データの書き換え。公文書とは国家の記憶である。

要するに連中は国家の中枢に総攻撃を仕掛けたのだ。

外交ではロシアにカネを貢いだうえ、北方領土の主権を棚上げした。プーチンは安倍を「金づる」くらいにしか見ていなかった。

自称保守メディアは「安倍はプーチンと27回も会談した」と礼賛したが、27回も会談しておきながら上納金と一緒に北方領土をむしり取られただけ。

実際、プーチンは2019年9月6日、「(北方領土は)スターリンがすべてを手に入れた。議論は終わりだ」と切り捨てている。清々しいまでの大失態である。

▲27回の会談の末手に入れたものは… 出典:旅人 / PIXTA

憲法も蹂躙(じゅうりん)された。意味不明の「加憲」を唱え、戦後改憲派が積み上げてきた議論すらドブにぶち込み、集団的自衛権に関する安保法制騒動では政治の手続きそのものを破壊した。

結局、バカがバカを支持するから、バカな国になるのだ。

安倍はニューヨーク証券取引所で「もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました」と発言。

世界経済フォーラム年次会議(ダボス会議)の冒頭演説では徹底的に日本の権益を破壊すると宣言。電力市場の完全自由化、医療の産業化、コメの減反の廃止、法人税率の引き下げ、雇用市場の改革、外国人労働者の受け入れ、会社法の改正などを並べ立て、「そのとき社会はあたかもリセット・ボタンを押したようになって、日本の景色は一変するでしょう」と言い放った。

極左カルトのテロリストが「社会をリセット」し、「新しい国をつくる」と言うならまだ理解できるが、一国の総理大臣が国境や国籍にこだわることを否定し、保守を自称するような連中が、黄色い声援を送ってきたわけだ。

現在、政権中枢において国家の解体が進められている。そして少なくともこの四半世紀に及ぶ「改革」騒ぎに対する本質的な反省を見かけることはない。

実際に日本の景色は一変した。

例を挙げればキリがないが、あらゆる意味において、国家は完全に破壊された。連中は新自由主義勢力の下請けとして国益を破壊し、竹中平蔵のような政商たちと癒着し、憲法破壊に手を染めた。