140字小説の生みの親・方丈海氏が、今まで発表してきた作品&書き下ろしを収録した『#140字小説 「1話30秒」の意味が分かるとゾクッとする話』を発売! 収録作品のなかから選りすぐりの6作をご紹介します。
※本記事は、方丈海:著『#140字小説 「1話30秒」の意味が分かるとゾクッとする話』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。
もしもし? 今、402号室の前にいるの
『もしもし? 今、402号室の前にいるの』
スマホの位置情報を利用したホラー系ジョークアプリ“メリーさん”。
段々近づいてくるコールを面白がっていたが、ふと思った。
(何で、位置情報だけで俺の部屋の番号までわかったんだ?)
再びコールが鳴る。
「もしもし? 今、アナタの後ろにいるの」
『ホンモノ』
手帳を整理してたらmixiのパスとログインIDのメモが見つかった
手帳を整理してたらmixiのパスとログインIDのメモが見つかった。
「mixiかぁ…懐かしいなぁ」
そう言えば、日記に必ずコメントくれる熱心なマイミクさんがいたっけ。12年ぶりにログインしてみると、4383件のコメント通知が溜まっていた。コメント通知が一つ増える。
『おかえりなさい』
『12年間の足跡』
俺の飯はどうするんだ?
「でね、3泊4日で旅行に行くって言ったらこう言われたの。『俺の飯はどうするんだ?』って」
「うわぁ出た! いるよね、そういう夫。そんなの無視して旅行いっちゃいなよ」
「うん…もう飽きたし、そうするね」
後日、彼女の家から夫の死体が見つかった。夫は首輪で繋がれ“飼われていた”様子だった。
『何も出来ない夫』