140字小説の生みの親・方丈海氏が、今まで発表してきた作品&書き下ろしを収録した『#140字小説 「1話30秒」の意味が分かるとゾクッとする話』を発売! 収録作品のなかから選りすぐりの6作をご紹介します。

※本記事は、方丈海:著『#140字小説 「1話30秒」の意味が分かるとゾクッとする話』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

もしもし? 今、402号室の前にいるの

▲もしもし? 今、402号室の前にいるの イメージ:Graphs / PIXTA

『もしもし? 今、402号室の前にいるの』

スマホの位置情報を利用したホラー系ジョークアプリ“メリーさん”。

段々近づいてくるコールを面白がっていたが、ふと思った。

(何で、位置情報だけで俺の部屋の番号までわかったんだ?)

再びコールが鳴る。

「もしもし? 今、アナタの後ろにいるの」

『ホンモノ』

手帳を整理してたらmixiのパスとログインIDのメモが見つかった

▲手帳を整理してたらmixiのパスとログインIDのメモが見つかった イメージ:kenjii / PIXTA

手帳を整理してたらmixiのパスとログインIDのメモが見つかった。

「mixiかぁ…懐かしいなぁ」

そう言えば、日記に必ずコメントくれる熱心なマイミクさんがいたっけ。12年ぶりにログインしてみると、4383件のコメント通知が溜まっていた。コメント通知が一つ増える。

『おかえりなさい』

『12年間の足跡』

俺の飯はどうするんだ?

「でね、3泊4日で旅行に行くって言ったらこう言われたの。『俺の飯はどうするんだ?』って」

「うわぁ出た! いるよね、そういう夫。そんなの無視して旅行いっちゃいなよ」

「うん…もう飽きたし、そうするね」

後日、彼女の家から夫の死体が見つかった。夫は首輪で繋がれ“飼われていた”様子だった。

『何も出来ない夫』

▲俺の飯はどうするんだ? イメージ:polkadot / PIXTA