4月からスポーツジムに通い始めたりしたアナタ。「こんなに頑張っているのに、ダイエットしてない頃とほとんど変わってない……」と嘆いていませんか? 人気ボディワーカーの森拓郎氏は、運動することでヤセられるというのは“間違った思い込み”だと指摘しています。
※本記事は、森拓郎:著『「年齢とともにヤセにくくなった」と思う人ほど成功する 食事10割で代謝を上げる』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。
「ヤセる手段は運動しかない」という思い込み
かつて私は、某大手フィットネスクラブでトレーナーとして働いていたことがあります。
フィットネスクラブは体を動かすことが得意、または好きな人が入会する施設だと皆さん思っているでしょうが、実際は運動ギライなのにダイエット目的のためだけに渋々通っている人がビックリするほどたくさんいます。
彼らと話すと「いやあ、じつは運動が苦手でね。ちっとも楽しくないんだよ」と苦笑いをしています。
「だったらムリしなくていいのに……運動するより食事を変えたほうが、はるかに簡単にヤセますよ」と、私は心のなかで何度アドバイスしたことか。
率直に言いましょう。
あなたが太ってしまった根本原因は、運動を怠けていたからではなく、長年の歪んだ食生活でムダなエネルギーを摂りすぎたためです。
確かに、運動をして多少でも筋力をアップする、丈夫で健康な足腰をつくるということは、やらないよりやったほうがマシに決まっています。
ただし、肥満の根源であるハチャメチャな食生活に蓋をしたまま運動に走るのは、お門違いもいいところです。
しかも1時間ランニングを頑張ったところで、得られる消費カロリーはせいぜい400キロカロリー程度。
この程度のカロリー数を消費するために息を切らせてイヤイヤ走る(※)のだったら、間違った食事グセを矯正して500キロカロリーのメロンパンに手を出さずに済むような体につくり変えていったほうが、効率的にヤセることができます。
(※)カロリー消費目的で走る:スポーツクラブで最も人気があるマシンは、トレッドミル(ルームランナー)。30分規制のあるスポーツクラブが大半。
そもそも運動はヤセるためではなく「健康のため、またはボディメイクのために行うもの」というのが私の考えです。
運動を通じて正しい体の動かし方を習得すれば、将来、体を痛めるリスクは確実に減ります。また、たるんだお尻を引き上げるということも運動でしかできません。
運動好きな人が心身のリフレッシュも兼ねて行う以外は、ダイエット目的の運動などムリに行う必要はどこにもないのです。
「ツイストや腹筋でヤセる」という困ったカン違い
ダイエット系エクササイズの定番といえば、ツイスト運動(※)です。
(※)ツイスト運動:腰を回転させて、脇腹にある腹斜筋を鍛える運動。
「森先生、ツイストをすればウエストはくびれますか?」
という質問を受けることがありますが、ハッキリ申しあげるとツイストを300回やったところで、くびれることはありません。
誤解のないように伝えておくと、私はツイストすること自体が無意味だと言っているわけではありません。するのとしないのとでは、したほうが僅かにいいかもしれませんが、ねじればねじるほどくびれるんだったら、今ごろ世界中のダイエッターがねじっているでしょう。
むしろ、くびれよりも、腹斜筋がつきすぎて太いウエストがさらに分厚くなっていくことのほうが心配です。
私が、“ダイエットトレーニングの悪習”と呼んでいる腹筋運動も、同類の運動であるといえます。
いまだに「腹筋運動をすれば腹が凹む、ヤセられる」と妄信している人が多すぎます。運動指導者の立場から断言すると、ツイストと同じく腹筋運動をいくらやったところでお腹は凹みません。
確かに、脂肪でタルんだお腹周辺に筋肉がつき、以前よりは引き締まった印象になるかもしれませんが、都合よくそこにあった贅肉までもが消えていくということにはならないのです。
一度原点に立ち返りましょう。
あなたは体にとってムダな食べ物を食べすぎた。だから余計な贅肉だらけになっている。
それなのに原因の根っこである「食」を無視して、わけのわからないねじる行為や起き上がり運動で体を変えようとしているのです。
そこにはきっと「ラーメンもお菓子も食べるのが好きだし、今の食生活を変えたくない。あわよくば運動でどうにかできれば……」という思いがあるのでしょう。
しかし、太った原因から目をそらしていると、食生活のクセは一生そのまま。食生活のクセ=悪癖を放置していたら、どんな種類の運動を選んでもヤセることはできません。