“毛布を纏った霊柩車”という強烈なインパクトを放つ作品「神宮寺宮型八棟造」を発表し、「第18回岡本太郎現代芸術賞」特別賞を受賞したことで一躍注目を集めた江頭誠さん。彼は、毛布の柄も活かしながら、木彫りの熊、招き猫、盆栽、掛け軸……、いろんなものを毛布で覆い、見たこともない作品を作り出している。

ミュージシャンのMVやGUCCIのショートフィルム「Kaguya by Gucci」にアートワークで参加するなど、メディアで作品を目にする機会も増えている。今回は、対談のために江頭さんが持参してくださったたくさんの毛布作品を拝見しながら、創作の裏側やマインドなど、お話を伺った。

かわいい毛布作品

高野:以前、展示会に行ったときに江頭さんの作品を拝見しました。

江頭:豊洲の展示のときですね。あのときは、盆栽とか五月人形を飾っていましたね、ちょっと巨大なものを。今日は、持ってこれなかったんですけど…。

高野:いえいえ、こんなに持ってきていただいてありがとうございます!

江頭:今日、電車に乗って移動してきたんですが、満員電車の中で、毛布をたくさん運んでいる自分っていうのを客観視して、ちょっとおもしろかったです(笑)。

高野:ははは(笑)、ありがとうございます。僕が以前展示を見たとき、もう作品が売り切れていたんです。

江頭:あのとき、結構大きめの作品をもっていってたんですよね。今日持ってきたものは、この前銀座蔦屋で個展をやった際のものを中心に持ってきました。

高野:かわいいですね、触っても大丈夫ですか?

――高野さん、見たことない作品はありますか?

高野:インスタとかでも結構拝見しています。第一印象はおしゃれだなっていうインパクトありますけど、目の前で見ると本当によりかわいいですね。全部愛らしい。

江頭:花柄毛布がおしゃれと言われる日が来るとは思ってなかったです。

高野:はははは(笑)。もともと、毛布が好きだったんですか?

江頭:全然好きではなくて…。高野さんは、こういう花柄毛布って使われていましたか?

高野:おばあちゃん家にあったかな? という印象ですね。

江頭:そうですよね。僕も普通に実家で花柄毛布を使っていたんですけど。三重県から上京して一人暮らしを始めたとき、ちょっとかっこつけたいと思ってたのに、花柄毛布を普通にベッドの上に置いていて、家に遊びに来た友達がそれを見た瞬間に、「ダサい」みたいなことを言われて(笑)。

花柄の毛布は、普通だと思っていたんですけど、それが普通じゃないんだと気づかされたのと同時に、母親から譲り受けたものだったので、ダサいといわれて笑われたことに対してモヤモヤした感情があって。これをモチーフに何か作りたいなっていうのをずっと考えてました。なので今、おしゃれって言ってくださって、報われた感じがします。

高野:いやー、おしゃれっていろんな方から言われていると思いますけども。

江頭:(毛布の絵柄は)寝具会社の寝具メーカーさんの力なので(笑)。僕はただ貼っているだけなんで。

高野:ずっと毛布は既存のものを使ってるんですか?

江頭:そうですね、たまに、自分で(毛布を)デザインしないんですか? って、聞いていただけることもあったんですけど、そうなるとコンセプトや趣旨が変わってしまうので。

高野:この毛布は、同じ毛布屋さんで買ってるんですか?

江頭:僕はフリマアプリとかジモティーっていう自分で交渉して取りに行くみたいなのがあるんですけど、そういうところから毛布を手に入れています。今日もそうなんですけど、毛布だけのために自分が移動してるのが面白いなと思ってます。

高野:はははは(笑)。

江頭:見知らぬ方と交渉して、紙袋が渡されて、毛布だけを交換しているエピソードがいいなと思って、あえてジモティーを使ったりとか。

高野:そうなんですか。

江頭:毛布ってそういうバックグラウンドを勝手に想像できるモチーフでもあるのかなと。今日も電車に乗っていて思ったんですけど、天気がいいので毛布がベランダに干してあるのとかを見て、社会の第一線でバリバリ働いているような方が、家ではこういう毛布を使っているのかなと想像すると、急にその人の人間味が見えてくるというか。

あと、電車に乗ってるときに、この人はどこで服を買ってるんだろうとか、どういう子供時代を過ごしたんだろうって想像して自分を落ち着かせるっていう行為は、昔からよくやってたんです。その癖が繋がってるのかわかりませんが、いろんなバックグラウンドを想像するのが癖になっています。その人を感じたいというか。