新年度は生活習慣を見直すチャンス。糖尿病・高血圧・高脂血症・心筋梗塞・脳梗塞・ガン……などの病気から身を守るため、人生100歳時代の食事療法の一つに、石原結實氏が提唱する「週1日のジュース断食」があります。

※本記事は、石原結實:著『やせる、若返る、病気にならない ちょい空腹がもたらす すごい力』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

満腹後にくる体のだるさの原因は?

人体を構成する60兆個の細胞と、それが集まってできる組織・器官・臓器は、血液が運んでくる酸素・水・栄養素・ホルモン・免疫物質などを受け取って活動しています。なので、細胞から臓器にいたるまで、血液の流れが悪いところの働きは低下し、病気にかかりやすくなります。

たとえば、お腹を手の平で触ってみて、図表の1~3の場所を「冷たい」と感じた場合、以下のような病気にかかりやすいおそれがあります。

▲『やせる、若返る、病気にならない ちょい空腹がもたらす すごい力』より

1.心部(しんかぶ)(胃のある所)が冷たい……胃(炎、潰瘍、ガン)
2.右部(みぎきろくぶ)(肝臓のある所)が冷たい……肝炎、脂肪肝、肝臓ガン
3.下腹部(子宮、卵巣、膀胱のある所)が冷たい……生理不順、子宮筋腫、卵巣のう腫やガン、膀胱炎

こうした病気は「入浴、サウナ、運動で体を温める」また「生姜湿布などで患部を温める」と治癒が促進されます。満腹のあとに「眠くなる」「体がだるくなる」のは、消化するために胃や小腸に血液が集まり、脳や手足の筋肉への血流が少なくなるからです。

なので、始終何かを食べている人ほど、よく体のだるさを訴えます。逆に、少食にしたり、1日のうちで空腹の時間をなるべく多く作るようにしたりすると、そのあいだは胃腸に血液を集める必要はなくなります。

すると、血液は脳・心臓・肺・腎臓などのあらゆる臓器や、手足の筋肉へ潤沢に巡っていきます。その結果、だるさを感じなくてすむどころか、心身ともに爽やかになります。

突然死した人の周りの方々に、亡くなった人の直前の食事を尋ねると「食べすぎていた」という答えが返ってくることが多々あります。食べすぎると、胃腸に血液が集まり、脳や心臓(の筋肉へ栄養を送る冠動脈)への血流が悪くなります。その結果、それらの臓器の働きや防御力が低下して、こうした突然死に結びつくことがあるわけです。

断食すると朝スッキリと目覚める

人体の60兆個の細胞と臓器は、私たちが眠っているあいだに、昼間に活動することでたまった老廃物を処理・排泄し、傷ついた箇所を修復し、古いタンパク質を壊して、新しいタンパク質を合成する……などといった、体の修理・再生作業をしてくれています。

食べすぎると、胃や小腸は夜間になっても消化活動に追われることになります。すると、胃腸以外の細胞には、その修復・再生に必要な血液が十分に廻ってこなくなります。その結果、胃腸も含めて、人体のあらゆる細胞・臓器が疲労を残したまま朝を迎えることになります。

逆に「空腹」や「断食」により、胃・小腸への血流がほとんど必要でなくなると、他の細胞・臓器への血流が促進されます。すると、疲労物質の除去、細胞の修復・再生がスムーズに行われ、深い睡眠とスッキリした目覚めが得られるようになります。

私は毎週月曜日には、朝・昼・夕を人参・リンゴで作った生ジュースをコップ3杯ずつ飲み、途中で空腹を感じたら黒糖入りの生姜湯を飲む、という「1日断食」をここ5~6年続けています。

つまり、年間50日以上「ジュース断食」していることになります。

断食した夜は、体ごと布団に沈み込んだのではないかと思うくらいの深い眠りに就くことができて、翌日の火曜日の朝は心身ともに爽快このうえありません。

そして、不思議なことに断食の日にバーベルやダンベルを使ったウエイトトレーニングを行っても、翌日の筋肉痛がまったくないのです。

▲断食すると朝スッキリと目覚める イメージ:Taka / PIXTA

その理由がおわかりになるでしょうか?

食事をする普通の日にウエイトトレーニング(ちなみに、今もベンチプレス90kg、スクワット120kgくらいの挙上は可能です)を行うと、血液は消化のために胃や小腸に集まり、また負荷がかかった筋肉へも血液を運ぶ必要があります。

なので、ウエイトトレーニングで傷んだ筋肉細胞への血流が十分でなくなり、その修復が十分にできなくなるわけです。しかし、断食の日にウエイトトレーニングをやると、血液は胃腸へはほとんど供給されず潤沢に筋肉へ巡ってくるので、傷んだ筋肉の回復が早くなるのです。