前回のコラムが、日本代表のイラク戦の負けを暗示するような内容になってしまいました。

僕は仕事で岐阜県の飛騨高山にいたので宿の部屋で見ましたが、試合後に直行した露天風呂で相方と延々試合の反省点を振り返る、旅情緒のかけらもない入浴になってしまいました。さて、今日はそんなアジアカップを2019年に見に行ったときの旅行記をお送りします。僕が味わえなかった旅情緒を感じていただけたら幸いです。

肉体労働現場→成田空港→UAEのハードな日程

今よりもさらに仕事がなかった2019年冬、派遣の肉体労働のバイトを午前中で済ませると、その足で成田空港へ。

そして現地時間深夜3時、UAEの首都・アブダビへ到着しました。あんまいないだろ、午前中バイトで肉体労働して午後アラブ行くやつ。

しかし、それほどまでに見たかったのです、日本代表がタイトルを獲る瞬間を。だからこそ、準決勝と決勝の2試合を見るため長旅をしたわけです。

準々決勝のベトナム戦、57分に日本が先制するまでは「俺、ベトナムvsイランを見にUAE行くのか?」とヒヤヒヤしましたが、無事に日本戦を見られることになり、ひと安心。

スマホを持ち歩く必要すらなかったそれまでのW杯観戦一人旅と違い、仕事も多少あったため空港でSIMカードを購入し、頭無回転で他の日本人のあとをついていき、どこ行きかも知らないバスに乗ります。

全員攻撃・3人守備の社会人サッカーチームくらいリスク管理が甘々ですが、そんな僕のアグレッシブなスタイルが功を奏し、バスは無事に初戦となるイラン戦の開催地であるアルアインに到着しました。

朝5時 in アルアイン。街には礼拝堂やアラブっぽい建物が多く(首都じゃないからか、このあとに行くアブダビやドーハより多かった印象)、お祈りのときに流れるのであろう中東情緒あふれる歌声(アザーンというそう)が流れていました。そんななか、マックで時間を潰して宿に向かった僕に非常事態が。

タクシー運転手「いや、この住所、ないぞ」
すがや「なぬ?」
タクシー運転手「こんな住所ない。ここ、荒野」

……僕が民泊サイトで予約していた宿は存在しなかったのです。おかしいと思ったんだよ。相場より90%くらい安いから。いやおかしいと思ったなら予約するなよ。リスク管理どうなってんだよ。

これはロシアW杯のとき、一泊400円の宿を予約したら

『ホテル側の手違いで、一部屋に64人泊まる計算で予約を承ってた』

という理由で一方的にキャンセルされたとき以来のピンチ。

ともかく宿無しになった僕は、最悪マックに泊まればいいかと割り切り、ドリブルであたりをお散歩をすることに。もう少し焦れ。

ブラジル、ロシアといろんな経験をしたうえ、ブラジル人から

「お前は金持ってなさそうなのに足速そうだから、狙うにはコスパ悪い」

とノンターゲットのお墨付きをいただいた僕は堂々としておりました。

ショッピングモールで買った、知らない魚に赤くて無味のソースと白くて異常に辛いソースをかけた変なお惣菜とパンをつまんでスタジアムへ。

街で遭遇するイラン人は日本人選手にとても詳しく

「ウラワレッズ!! ユーキアベ!!」「アントラーズ!! オガサワラ!!」

とフレンドリーに話しかけてくれます。

ACLで頑張るとアジア地域には名前が轟きますね。中東サポーターにはレッズが一番有名です。こっちが「セパハーン!」とか「ベルゼポリース!」とか言っても、うれしそうにしてくれてとても和やかな雰囲気。アジアカップ楽しい!! お酒こそ飲めないけど!! スタジアムへも彼らと一緒に向かいました。