昼食チョイスのコツは「たんぱく質と食物繊維」

朝食では、自律神経の働きをサポートする「セロトニンの産生に必要な栄養素を摂ること」がポイントとお伝えしました。このことからも、朝は、たんぱく質や炭水化物が中心になりがち。そこで、昼食では「食物繊維を多めに摂る」という意識を持つと、バランスが取れてきます。

私は朝も食物繊維の多いサラダやバナナなど食べるようにしていますが、足りないと思った日は、昼に大学の裏にある食堂で野菜炒め定食を注文します。ここの野菜炒めは、びっくりするぐらい大量の野菜が入っているので、食物繊維を補うのに最適なのです。

厚生労働省による食物繊維の摂取目標量は「成人男性1日20g以上、成人女性は1日18g以上」で、多くの人が摂取量に達していない現状があります。

普段から食物繊維の摂取を意識している私でも、食事だけで食物繊維の1日の合計摂取目標量を満たすことは容易ではありません。ですから、食物繊維が不足しがちという人は、食物繊維のサプリメントを活用するのもひとつの手だと思います。

▲昼食チョイスのコツはたんぱく質と食物繊維 イメージ:マハロ / PIXTA

ただし、食物繊維ばかりに意識がいって、サラダランチなどを選んで野菜ばかりに偏ってしまうと、たんぱく質が不足しがちですから注意が必要です。お昼もたんぱく質の摂取は欠かさないようにしてください。そして忘れて欲しくないのが、腹7分目で止めておくということ。

とくに働いている人は、昼食の時間が限られるため、早食いをして満腹中枢が追いつかず、食べすぎる傾向があります。満腹は胃腸に負担をかけるため、できるだけ避けてください。

また、早食いは「血糖値スパイク」を起こして肥満の原因にもなるため、要注意。改めて自分の食習慣を見直してみましょう。「夜の外食が多く、節制ができない」と悩んでいる人は、お昼にあらかじめカロリー調整しておくと楽になります。私も夜に会食が入っている日は、ヨーグルトとバナナや山菜そばなど、軽めにランチを済ませるようにしています。

夕食は腹7分目! ダイエット以上のうれしい効果

夕食は、1日の終わりにゆっくり食事を楽しめる癒しのひとときです。自宅でアルコール片手にテレビを見ながら、心ゆくまで夕食を食べるのが日課という人も多いでしょう。そうした夕食の楽しみを否定するつもりはありませんが、肥満を避けるには、少し軽めの腹7分目で抑えておくことをおすすめします。

夕方以降は、睡眠に向けて体の活動量や代謝が下がっていく時間帯ですから、満腹まで食べてしまうと、エネルギーが余って脂肪細胞に溜め込まれます。とくに食べすぎで睡眠中にまで消化が長引くと、栄養が吸収されず、ほとんどが脂肪として蓄えられてしまうため、肥満リスクが倍増するのです。

1日の食事バランスとしては、活動をスタートする朝にしっかりと食べて、昼と夜は腹7分目で軽く済ませておくのが理想。

しかし日本人は、朝食を抜いて昼と夜をしっかり食べる人が多く、真逆の傾向にあります。続けると加齢とともに肥満リスクが高まるため、該当する人は改善をおすすめします。

腹7分目にして物足りなさを感じる場合は、動物性たんぱく質中心のメニューに切り替えてみてください。高たんぱく質食材は、腹持ちがよく満足感を高めてくれるので、楽に食事量を減らすことができます。

また、消化は約3時間かかるので夕食は8時前後に済ませること。副交感神経の働きがピークになって腸が活発に動く午前0時には、就寝していることが望ましいためです。

そしてもうひとつ、食事を腹7分目に抑えると、サーチュイン遺伝子と呼ばれる「長寿遺伝子」のスイッチがオンになることがわかっています。

▲夕食は腹7分目! ダイエット以上のうれしい効用 イメージ:Mills / PIXTA

ある実験で、人と遺伝子が酷似したアカゲザルにカロリー制限に関する比較をしました。すると、20年間にわたって普通に食事を与えられ続けたサルは、体毛が抜けシワも多かったのに比べ、同じ期間30%のカロリー制限を続けてきたサルは体毛がフサフサで肌にも張りとツヤがあったのです。

さらに、カロリー制限したサルは、がんや糖尿病、心臓病や脳萎縮などの病気も少なく、生存率も高いことがわかりました。これにはさまざまな理由が考えられますが、カロリー制限によって長寿遺伝子の働きが強まったという説が有力です。

長寿遺伝子はその名のとおり、長寿や老化に関わる遺伝子で、働きを強めることで細胞の寿命を伸ばすのに役立つ分子が増えるといわれています。その結果、血管や脳など重要な器官の老化が抑えられ、寿命が延びるのです。

長寿遺伝子は、エネルギーを効率的に生み出すミトコンドリアを増やす働きもあり、ダイエッターにとっても最大限に活用したい存在。さらに肌の老化を抑えるアンチエイジング効果もあるので、若々しさの維持にも欠かせません。

こう聞くと、無理な節制を始めてしまうダイエッターもいることでしょう。しかし、注意してほしいのは「やせすぎは寿命を縮めてしまう」ということ。極端にやせている人は、肥満の人よりも発がん率が高いことも研究によってわかっています。何事も、やりすぎは毒ということを覚えておいてください。