リズミカルでキャッチーかつポップな漫才で、『M-1グランプリ2015』では敗者復活戦からの勢いそのまま、一気に駆け上がって優勝をつかみ取ったトレンディエンジェル。芸歴20年目に突入した今年、東京・ルミネtheよしもとで6年ぶりに単独ライブ『PE~POP!』を6月30日(日)に開催する。

プレスリリースには「芸歴20年目もハゲの1本勝負!」とのキャッチコピー。容姿を笑いとすることにさまざまな意見があるなかでも、20年磨き続けてきた卓見と感性を活かしたハゲネタは、お笑いのプロフェッショナルらしい見せ方と明るさ、さらにアドリブ力に長けた本番での勝負強さを武器に、日々、大きな笑いを起こし続けている。

※本記事は『+act.(プラスアクト)2024年7月号』(ワニブックス:刊)より、一部を抜粋編集したものです。

『PE~POP!』は全て新ネタになる予定?

――単独ライブは6年ぶりの開催だそうですね。

斎藤司(以下、斎藤):いやぁ、そうなんですよ。ほかのことをやり過ぎていたというか、単独ライブの意義を考えていたら時間が経っていたというか。ちょこちょこ新ネタライブはやっていたんですけど。

たかし:けっこう空いちゃいましたね。6年ぶりってあまりないですか? 皆さん年1回くらいやってますもんね。

――皆さん、2年に1回とかはやっている気がします。

たかし:芸歴20年目ということで、マネージャーに提案されてやることになったというか。指示待ち人間なんですよ、僕らは。

斎藤:マネージャーに言われたからやるわけじゃないよ(笑)。ひとつのキッカケではありますけどね。

たかし:内容はまだ何も決まってないんだよね?(インタビューは5月中旬)

斎藤:全部、新ネタになる予定ですけど、今できる自分たちの楽しませ方、お笑いをお見せしたいという思いはあります。ぎゅっと詰め込んだものにしたいですし、クオリティーを落としたくないからこそ1時間ライブとしているので、原液をそのままお届けするというか。

たかし:そうなるはずです。タイトルは……想像できないかもしれないんですけど、斎藤さんがK-POP好きなので『PE~POP!』にして。

斎藤:K-POPファンがちょっとでも来てくれたらいいな、という願いを込めてね。ポップを失いたくないというところもあるので、お子さんにも来ていただきたいですね。

たかし:過去に単独は何回もやったことがあるんですけど、いつもネタができるのは本番ギリギリなんですよ。だから、さすがに今回は早めに取り掛かろうとは話してます。

――現時点で、すでに頭の中にネタの構想はあるんですか?

斎藤:僕は日々、メモしてるので構想だけはあります。けど、たかしはないと思いますね。ネタは話し合って作っていくんですが、恥ずかしい話、最近、いろいろとボケを考えているのは全部たかしなんです。僕はそれを組み立てたりメモしたりする書記というか。こういうのをやりたいんだけど、とは言うんですけどね。

たかし:斎藤さん、パソコンを打つのが速いんですよ。

斎藤:そういった役割ではありますけど、笑ったり、あぁ、面白いねと言ったり、二人で相変わらず作ってますよ。

たかし:斎藤さんって、もっとネタを書ける人だと思ってたんですけどね?

斎藤:昔、何回か一人で書いたことはあります。けど、たかしに見せたらつまんないって言われて。だから、二人で喋って笑い合いながら作ったほうが、いいボケができるっていうのはありますね。

……あの頃を思い出すだけでもトラウマなんですよ。僕が(台本に書いた)ボケを読み上げても、たかしが全然笑わなくて。そこで鼻をへし折られたというか。自分のことを面白いと思っていたんですけどねぇ。あれだけつまらないと言われると、まぁそうなんだろうなというか。ごり押ししてもしょうがないですよね? だって、つまんないんですから。

たかし:あははは! いや、斎藤さんは面白い人だとは思ってるんですけどね。

斎藤:意外と不器用なんですかね? ネタを書いて面白いのと、喋って面白いのは違うんですね。僕、営業だったらそこそこ笑わせる自信があるんですけど、ネタを書いてこいって言われたら無理っていう……なんなんでしょうね。不思議です。

――計算されてないからこその面白さもありますよね、トレンディさんの漫才は。アドリブも多い印象ですし。

斎藤:確かにそうですね。漫才では自分たちらしい味が出たらいいな、というか。基本、本番になればなんとかなる。当日の俺がなんとかしてくれる、と思ってるところもあります。今回も、とにかく全て笑ってもらえるネタができれば。

たかし:ポップにね。

ネタ作りはアドリブとかノリを大事にしたい

――ネタ作りにかける時間も、20年の時を経て変わっていったところはあるんですか?

たかし:昔は吉本本社に集まって朝までやってましたけど、それもないよね。

斎藤:年を重ねると、時間をかければいいものではないことに気づくじゃないですか。2時間集中してやったほうがいいんですよ。

たかし:で、何も出なかったら帰るっていう。

斎藤:そう。あと、二人で考えても思いつかないとき、たかしがカンフル剤として仲の良い後輩を呼んでくれるんです。2時間ごとに人が来たりすると助かるというか。

たかし:あれ、意味あるよね?

斎藤:会話が循環するからね。例えば、近況を喋っててツッコんだりすると、これいいねっていう感じでネタ作りが進んでいくんです。

――アドリブも多いということは、ネタが出来上がってから合わせる作業のほうが多いんですか?

斎藤:二人とも、特に僕は練習が嫌いで。(練習しなくても)できるっていう自信はあるのであんまりしないんです。

たかし:新ネタライブでも、3~4回練習したらこれ以上はやめとこうかってなりますね。憶え過ぎちゃうのもよくないというか。

斎藤:新鮮さがなくなるのもそうですけど、シンプルに飽きるんですよ。まぁ、わかるんですけどね。ここのツッコミはこう来てほしい、みたいなのを話し合うのも。けど、僕らは何回もやんないほうがいい。

たかし:と言ってる斎藤さんがうろ覚えだったりしますけどね。

――(笑)。いろんな芸人さんがいますよね。てにをはまで一言一句、間違えないようにしてほしいと言う人とか。

斎藤:俺がそれだったらイヤでしょ?

たかし:イヤだよ。ある程度、クオリティーが高くないと。

斎藤:……そうか。俺がてにをはまで気にするのはおかしいか。

たかし:あははは! だって、フリのセリフ、どっちが言う? とか言ってるも
んね、俺らは。

斎藤:昨日、大阪で新ネタライブに出たんですけど、どっちがフリを言うか、その場の雰囲気で決めようって、たかしが言い出して。それは、さすがに俺もビビりました。

たかし:だって、どっちが言っても一緒なんだもん。雰囲気でいいでしょ?

斎藤:まぁ、たしかにね。僕らみたいなのはきっちりきっちりより、超流動的にしたほうがいいんですよね。

トレンディエンジェルさんへのインタビュー記事は、発売中の『+act. (プラスアクト) 2024年7月号』に全文掲載されています。