土星には63個の衛星が見つかっている

土星には63個の衛星が見つかっている。地上の巨大望遠鏡やNASAとESAの土星探査機「カッシーニ」によって、その多くは2000年以降に発見されたものだ。

カッシーニの打ち上げは1997年10月15日。その後、2004年7月1日に土星周回軌道へ乗り、翌05年1月14日には突入機「ホイヘンス」を土星の第6衛星タイタンに投下、着陸に成功させた。このタイタンは、太陽系で木星のガニメデに次いで大きく、土星では最大の衛星である。

ホイヘンスは、降下中に液体メタンの海や川、陸地を撮影し、カッシーニを経由して地球に画像を送信してきた。このほか、気温や気圧、メタン濃度などが計測された。これらの観測結果の解析から、タイタンにはメタンやエタンが雨となって降り注ぎ、地表に川や湖のような地形ができていると判明した。

カッシーニはまた、土星を楕円軌道で周回するタイタンの形状変化を観測。それによれば、タイタンは岩石だけでなく、地下に液体の水の層(海)があり、そこでは地球の干満のような現象が起きている。

タイタンの内部は、外側から順に、メタンやエタンなどの有機物が豊富にある大気と地表、外部氷層、地下に広がる海、高圧氷層、そして含水ケイ酸塩の核、という構造になっていることがわかった。

▲2014年、カッシーニがとらえた土星の衛星エンケラドスの間欠泉。エンケラドスでは、おもに4本の100km以上のひび割れ(タイガーストライプ)から氷の粒や水蒸気が噴き出ている ©NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

土星の第2衛星エンケラドスは、反射率が高く太陽系でもっとも白く見える天体だ。カッシーニは、エンケラドスの南極に複数ある「タイガーストライプ」と呼ばれるひび割れから、間欠泉のように噴き出す氷の結晶をとらえている。また、微量だが大気の存在も確認された。

さらに、間欠泉の噴出口の下には海が広がっている可能性があるという。タイガーストライプ周辺は、周囲に比べて温度が高く、噴出物は水蒸気、氷の粒子、有機化合物などで、氷の粒子には塩分が含まれていた。この塩分によって凍らずにすんでいる水が、地下には豊富にあるのではないか、と推測される。

そして、生命誕生に欠かせない水があるとなれば、エンケラドスには「生命」が存在するのでは、と注目されている。

カッシーニはまた、土星の第4衛星ディオネに薄い大気を発見した。ディオネは、岩石を含む氷でできており、この氷が大気のもとになっていることから、大気の多くは酸素ではないかと推察されている。

▲カッシーニがとらえた土星の衛星ディオネ。クレーターや断層は、ディオネには誕生当時から地殻活動があったことを意味する。また、ディオネには、希薄ではあるが酸素を主とした大気があることもわかっている ©NASA/JPL/Space Science Institute