最近メディアでの露出が多くなる一方で「ラジオスター」としても、熱狂的なファンを獲得しているアルコ&ピースの平子祐希さんだが、芸人引退を本気で考えた過去を持つ。それを支えてくれたのは妻、そして先輩芸人の存在だっという。

一か八かの「忍者」と「パイロット」ネタ

2012年、アルコ&ピースの平子祐希さんは、芸人引退を一度は決意。引退を決意させたのは妻、そして踏みとどまらせたのも妻だった。

「真由美は『私と結婚したことで、芸人を辞めさせてしまうのは嫌』と言っていたんですよ。だから、僕が成功しないと真由美が自分を責める原因になってしまう。2012年は、そんな真由美の応援の惰性で続けられていました。あのとき、自分のなかのモチベーションは0でした」

しかし不思議なもので、そこで芸風を吹っ切ることができた。アルコ&ピースは、前年に引き続き『THE MANZAI 2012』決勝進出を果たすが、ある変化が。

「僕らって、中川家さんのような“間と呼吸の漫才”が大好きなんですよ。一方で、それができないというコンプレックスもある。だからこそ、変則的なネタを作り続けてきたんですけど、考えてみたら中途半端だったんですよね。しかも、これまでやってきた起承転結をつけたようなネタも、去年まったくウケなかった。そこで、思い切ってぶっ壊してしまおうと思ったんですよ。漫才でよくある“○○になりたいから、2人で○○をやってみよう”という入りに、あえて僕が入らないという設定を考えました」

▲中川家のような“間と呼吸の漫才”が好きなのだという

そこで誕生したのが「忍者」と「パイロット」というネタだ。忍者のネタでは、相方の酒井さんが「忍者になって巻物を取りに行きたい。だから、平子さんは城の門番になって」という入りから始まる。

本来なら、それぞれの役になりきって漫才が繰り広げられるが「忍者になるなら芸人を辞めろよ」「なんで俺が、こんな年の瀬に城の門番にならないといけないんだ」と“ハズす”。パイロットも同様に「芸人とパイロットの二足のわらじはできない」と酒井さんのフリに乗っからない。

まさに一か八かの勝負だったが、ライブや大会の予選で良い感触を得ていた。観客の反応を受け「今年こそイケるんじゃない?」という噂も立つ。

ただ平子さんは確固たる自信を持つことはできなかった。予選では大爆笑をかっさらっていても、いざ決勝ステージで披露すると、思うようにウケないことは“芸人あるある”だからだ。加えて、今回の漫才は正統派でもなく、審査員の反応は予想すらできない。