自分の未来をちゃんと考えていきたい

――ところで、『嗤う蟲』は田舎暮らしに憧れる若い夫婦が山村へ移住するところから始まりますが、深川さんもスローライフへの憧れはありますか?

深川:あります。自然の中で暮らすのはいいな、って。今は難しいけれど、ゆくゆくは自然の多い場所で暮らせたらいいなという気持ちはあります。私自身、静岡ののどかな場所で生まれ育ったので、緑の多い場所が好きでホッとするんですよ。普通に住む場所を探すときも、交通の便が少々悪くても公園の近くだったり緑が多い場所に魅力を感じます。

――深川さんのふるさとは静岡県磐田市ですよね。PR大使も務めていらっしゃいますが、どのような土地ですか?

深川:私が育った場所は結構海が近くて、海の幸がすごくおいしいところです。そして、人がとても温かくて優しいです。『嗤う蟲』では人の怖さが描かれていますが、本来、人と人の距離が近いというのは良さだと思っていて。近所の人との助け合いが生まれたりするのも地方の魅力だと思っています。

 

――さて話は変わりますが、深川さんは2016年から俳優として本格的に活動を開始。昨年は久々の舞台出演もありました。以前と比べて演技に対する思いに変化などはありましたか?

深川:「楽しい」と「難しい」を永遠に繰り返しているような気がします。舞台はものすごく楽しかったけれど、舞台での表現の仕方には苦労しました。でもそんな中、朗読劇『ハロルドとモード』(24年9~10月)で黒柳徹子さんとご一緒して、感銘を受けました。黒柳さんは現在91歳でありながら毎日舞台に立って、「100歳まで立ちたい」とおっしゃるんです。皆さんで焼肉を食べに行ったときも、黒柳さんが誰よりも一番お肉を食べていたんですよ! パワフルでエネルギーに満ちていてしかもチャーミングな黒柳さんに、憧れを抱きました。私も黒柳さんみたいにずっとお芝居を続けていけたらいいなって思いました。さすがに100歳というのは私には無理かもしれないけど(笑)。

――深川さんの中で、将来のビジョンは明確にあるのですか?

深川:いえ。将来の理想像はまだはっきりと想像できていなくて。俳優を続けていけたらいいなと思うからこそ、「どういう自分になりたいんだろう」という部分をちゃんと考えていかなきゃと最近思い始めました。同世代の子にはちゃんと「私は何歳でこうなりたいから、何歳でこの仕事をして……」と逆算して将来設計している子もいて、尊敬します。私はずっと行き当たりばったりの人生を送ってきたから(笑)。

――そろそろ長期的なスパンで自分の人生と向き合わなきゃ、と。

深川:はい。とはいえ、やっぱり難しいですよね。「自分にとっての幸せって何なんだろう?」と考えてみても、簡単に答えが出るものじゃないな、って。そもそも、ビジョンが明確にあることが必ずしも良いとは限らないし。とりあえず今は一つ一つのお仕事を丁寧にやっていくしかないんですけど……30代も半ばに差し掛かってようやくそんなことを考えるようになりました。

――では最後に、2025年はどんな年にしたいですか? 目標を聞かせてください。

深川:お仕事に関してはご縁だと思っているので、今まで頑張ってきたことが次につながっていけばいいなと思っています。そして、プライベートもちゃんと充実させたいです。20代の頃は仕事に100%重点を置いていたんですけど、今は友達と旅行する時間も意識的に取るようにしていて。仕事もプライベートも両方充実させることが目標です。

 

プロフィール
深川 麻衣(ふかがわ・まい)
1991年3月29日生まれ。静岡県出身。2017年舞台『スキップ』で初主演。2018年には主演映画『パンとバスと2度目のハツコイ』でTAMA映画賞最優秀新進女優賞を受賞。主な出演作として、『愛がなんだ』(19)、『水曜日が消えた』(20)、『今はちょっと、ついてないだけ』(22)、『パレード』(24)などがある。『おもいで写眞』(21)、『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』(23)では主演を務め、2024年は『他と信頼と』、朗読劇『ハロルドとモード』など舞台でも活躍の幅を広げている。Instagram: @fukagawamai.official
映画『嗤う蟲』
2025年1月24日(金)全国ロードショー
出演:深川麻衣、若葉竜也、松浦祐也、片岡礼子、中山功太、杉田かおる、田口トモロヲ
監督:城定秀夫
脚本:内藤瑛亮、城定秀夫
音楽:ゲイリー芦屋
製作幹事:ポニーキャニオン
配給:ショウゲート
製作プロダクション:ダブ
オフィシャルHP:https://waraumushi.jp
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