日本各地で起きた村八分事件をもとに、実際に存在する「村の掟」の数々をリアルに描き、現代日本の闇に隠されているムラ社会の実態を暴くスリラー映画『嗤う蟲』(わらうむし)が1月24日(金)に全国ロードショー。
主演を務めるのは、『おもいで写真』(21年)、『今はちょっと、ついてないだけ』(22年)、『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』(23年)などの作品で俳優として活躍する深川麻衣。脱サラした夫とともに都会を離れ、憧れのスローライフを求めて麻宮村に移住するイラストレーター・杏奈を演じる。
ニュースクランチでは今回、深川にインタビューを実施。ムラ社会のダークサイドに迫った本作の印象や共演者とのエピソードに加え、撮影時に起こった不思議な出来事についても語ってもらった。
サスペンスが好きなので、挑戦できてうれしかった
――まず最初に、本作の台本を読んでどう感じましたか?
深川:「村で何かが起こる」というスリラー作品は邦画でも洋画でもいろいろありますが、今回の作品は今までありそうでなかった着眼点だなと思いました。私はもともとミステリーやサスペンスが好きなんです。本でも映画でも「これは一体どういうことなんだろう」と謎を追っていくのが好きなので、新鮮な気持ちで楽しく台本を読みました。現実離れした部分もありつつ、そこも含めてお話としてすごく面白く、エンタメとして楽しめる作品だと思いました。
――深川さんが主演に起用されたのは、本作のプロデューサー・布川均氏が「学級委員長のように真面目な深川さんの、叫んだり怖がったりする芝居を見てみたい」と思ったのがきっかけだそうですね。オファーをもらってどう思いましたか?
深川:今までスリラー作品に出演したことがなかったので、初めてチャレンジできることに対してうれしい気持ちでした。城定(秀夫)監督とご一緒するのも初めてでしたし、若葉(竜也)くんは2回目ですけど他の共演者の皆さんも初めましてだったので、楽しみな気持ちが大きかったです。
――杏奈を演じる上で、どのようなことを意識されましたか?
深川:杏奈は巻き込まれていく側なので、特に前半はほぼ受け身なんです。だからこそその中で、最初は明るかった夫婦が精神的にどんどん崩れていく様は繊細に表現しなければと思っていました。あとは、杏奈の中で大切にしている軸はブレないようにずっと意識していました。
――夫の輝道役を演じた若葉さんとは、夫婦を演じるに当たってどのようなコミュニケーションを図りましたか?
深川:深く話し合ってしっかり固めたという感じではないんですけど、作品を観る方に身近に感じてほしかったので、セリフの言い回しに関して「ここはこう変えたほうがいいかな」といった相談はよくしていました。この作品において、夫婦2人の間にある空気感ってすごく大事なものだと思っていて。そこは過去に共演経験がある若葉くんが相手だったからこそ、不安もなく演じることができたかなと思います。
――深川さんと若葉さんは映画「愛がなんだ」(19年)以来の共演。久々の共演はいかがでしたか?
深川:若葉くんは「フラットな方」という印象です。誰に対しても飾らないし、嘘がなく、お芝居に対して誠実。そこは昔も今も全然変わっていなくて、信頼できる俳優さんだと思っています。
――作中では、自治会長の田久保が物語のキーパーソンとなります。田久保役の田口トモロヲさんとの共演も初めてだったんですよね。
深川:はい。私は台本を読むとき、なんとなく情景を思い浮かべながら読むんですけど、いざ本番になると私の引き出しの中にはない言い回しや演技を田口さんがされるので、とても刺激を受けました。「え、こんなふうにセリフを発するんだ!」みたいな驚きがよくあったので、田口さんとの共演シーンは「次はどんなものが飛び出すんだろう?」とドキドキしながら撮影していました(笑)。
――城定監督からはどのような指示がありましたか?
深川:城定さんからの演出はほぼありませんでした。後から聞いたんですけど、今回は演者に委ねて撮ってくださったみたいで。城定さんの撮影はすごく早くて、一発OKならすぐに次のシーンへ進むというスピード感には驚きました。今までご一緒した監督の中でも一番早かったですね。でも、私が迷ったりしたところはちゃんと相談に乗ってくださいました。早いけれどもすごく丁寧にお芝居を見て撮ってくださる監督さんでした。