2017年に瀬戸内7県を拠点に活動する48グループ・STU48の一員としてデビューした福田朱里。シングル選抜に選ばれ、副キャプテンにも指名され順調に活動していたが、アイドル好きが高じて2023年1月に地元の高松で自らの名前を冠した『フクフェス』を開催。

ライブアイドルもフィーチャーしたその“分かってる”感全開のキャスティングが大きく話題に。24年9月のVol.3に至ってはロックバンド勢も対等に呼ぶという大胆な拡大策を取りながらこちらも見事に大成功。その後、東京で毎月定期の「フクフェス番外編」も開催中。もはやメジャーアイドル、ライブアイドル、そしてバンドシーンまでを繋ぐ日本の音楽シーンのキーパーソンと言っていい存在に。良い意味でアイドルの枠を超えすぎた彼女の、圧倒的な知性とバイタリティーを感じてください。

アイドルだけじゃない音楽フェスをやりたかった

――23年に地元の高松でフクフェスVol.1を開催されて大成功に終わって、1年後に東京でVol.2を開催されました。東京でやるというのは何か目的意識があってのことだったんでしょうか?

福田:やはりフェスを大きくしたいというのが1番大きなテーマでしたね。1回目は、自分の好きなグループさんを呼ばせてもらって、思いっきり好きなことをやらせてもらいつつ、STU48の公演の1つでパッと終わるかなと思ってたんですよ。

そしたら多方面から思った以上の反応を頂けて! これは続けていけるんじゃないかって手応えを感じたんですよね。香川だったらスケジュールの都合もあって呼べないけど、東京だったら参加して頂けるグループさんもあるし。メディアさんや関係者さんも来てくれるだろうし。東京というのを最大限に利用させてもらおうと思いました。

――確かにAKB48に#ババババンビ、でんぱ組.inc、FES☆TIVEと、ぐっとメジャー感のあるメンツに!

福田:そうですね。でも絶対変えたくない自分のこだわりで、私の好きなグループさんしか呼んでないです! いわゆる何ていうか……。大人の政治? は入ってない(笑)! でんぱ組さんは自分の人生を変えてくれた存在で、絶対共演したくて最初にお声がけをさせてもらいましたし、全部自分がちゃんとライブを見て、いいなって思ったグループさんなんです。

▲第1回のタイムテーブルと第2回のラインナップ

――言われてみれば、1回目でオタク層に一番驚きを引き起こした“くぴぽ”も入ってますし。個人的に驚いたのが“きゅ〜くる”のフィーチャーでした。

福田:プロデューサーの金澤有希ちゃんと仲がいいっていうのがあったんですけど、有希ちゃんが本当に頑張っていて! 名義貸しみたいな感じじゃなくて、本当にあの子が考えて全部プロデュースしてるんですよ。その姿勢が立派だと思ったし、ライブに行ったらすごい良いグループだったので、オープニングアクトという形で呼ばせてもらいました。ちゃんとしてるアイドルが好きなので、そういうところしか呼びたくない!

――そして3回目のフクフェスは去年の9月に高松で行われましたが、なんとアイドルと同じくらいバンドもフィーチャーした総合的な音楽フェスに!

福田:これが自分が一番やりたいことだったんですよね。私はSTU48に入る前、アイドルはでんぱ組さんと48グループとBerryz工房さんしか知らなくて。本当にバンドばっかり聴いてたので……。ただやっぱり受け入れてもらえるか不安でした。基本的にバンドのお客さんはバンドしか見たくないし、アイドルのお客さんは男性のバンドとか見たくないから。

――むしろ近寄って欲しくないくらいの(笑)。

福田:そうなんですよ! 私もその気持ちはめっちゃ分かるんですけど。ただ自分がいるSTU48が超清楚なイメージのグループだし、自分のファンの人たちは、私が本当に音楽が好きでバンドが好きっていうのを分かってくれてるので、信じてもらえるんじゃないかと思って。

あと“好きなものを好きって表現できないのはおかしくない?”って本音の気持ちもあって、“やっちゃえ!”って(笑)。ただやっぱりすごい配慮はしましたね。バンドとアイドルで会場も別にして、楽屋も別の建物にして、バンドのメンバーの人たちとアイドルがすれ違ったりしないようにして。

――すごい厳格さ! でも確かにオフの場所で出くわしたら、思わず2ショットとか撮っちゃいますよね。

福田:そう! 失礼ですけどバンドさんの方にもその辺はお願いして。でも何より良かったのは、私が好きで呼ばせて頂いたバンドのメンバーさんが、40代以上が中心だったこと(笑)! アイドルからするとお父さんくらいの世代だから、アイドル目当てのお客さんも実際見てみると安心だったと思います(笑)。

――確かに、ガガガSPをはじめベテランさんだらけですね(笑)。福田さんがその歳でこの辺が好きなのが謎です。ちなみに会場BGMのプレイリストが公開されてたんですけど、ハイスタとかジュンスカとか山口百恵とか、さすがにこれ選曲したのは福田さんじゃないですよね?

福田:私ですよ(笑)。このプレイリスト本当に好きで今でも自分で聞いてます!

――マジか(笑)! あと自分がすごいと思ったのが、アイドル側のキャスティングです。見事にロック寄りで、バンドのお客さんが聴いてハマりそうなグループが揃っていて!

▲第3回ラインナップとBGMリスト

福田:めっちゃ迷ったんですけどね。Hello Youthちゃんは本当に大好きで第1回から呼ばせて頂いてますけど、175RのISAKICKさんがサウンドプロデューサーですからね。ウイバナさんは@JAM(横浜アリーナで開かれる大規模夏フェス)で見てサウンド的にぴったりだと思って。

あと望まひろちゃんってソロの人がいるんですけど、ソニパ(340.29m/s)ってグループをやってて、私もう大好きで。まひろちゃん推しだったんですよ。パフォーマンスもめちゃくちゃいいし、密かになぁちゃん(岡田奈々)のファンの人に刺さるんじゃないかなと思って呼ばせてもらいました。

――結果3回目も大成功だったようで。

福田「本当に! 自分で言うのも何なんですけど、予想以上の大成功で! アイドルのファンの人たちもバンドを見てくれて、バンドのファンの人たちもアイドルを見てくれて、お互いの理解が深まった感じがあったんですよ!! 私のファンの方がガガガSPを見ながら拳上げて“うお〜!”とか叫んでる姿を見て“あなたそんな顔できたの?”とか(笑)。

あとSTU48だけはバンドの方の会場でやらせて頂いて……。アイドルを見たことないお客さんにSTU48をぶつけたらどうなるか見たかったんですよね。BPM速い曲や重低音効いた曲はないけど、詞がすごくいいから、伝わるものがあるんじゃないかと思って。

――『暗闇』はやりました?

福田:もちろんです!!

――デビュー曲が超名曲ですからね。“次の曲は『暗闇』です”って言ったらバンドのお客もビビりますよね(笑)。

福田:“初めてアイドルを見たけど、アイドルの概念が変わった”って言ってくれた方がいっぱいいたんですよ。それが本当に嬉しくて! あと裏テーマ的なものとして、自分が育った高松の街を好きになってもらいたいというのがあったので、2つの会場の間を行き来してもらって、お昼ご飯にうどんを食べてもらったりして、“高松に初めて来たけど良かった!”って声もいっぱい頂けて、地元に貢献できた気がして嬉しかったです!

――さて、その後は現在に至るまで“フクフェス番外編〜渋谷サーキットフェスへの道〜”と銘打って、東京でSTU48さんとアイドル2、3組でシリーズ的な対バンを打ってらっしゃいます。この“渋谷サーキットフェスへの道”というワードはどういう流れで出てきたんでしょう?

福田:私がフクフェスを始めたのって、“やついフェス”がやりたくて始めたんですよ。やついフェスに初めて出させて頂いたときに、“こんなにいろんなジャンルのアーティストとお客さんが一緒になって、こんなに楽しめるんだ!”って衝撃を受けて。そのやついフェスが渋谷で10年もやってるので、憧れがあって……。

あと番外編に関しては、渋谷のO-WESTのスタッフの方がフクフェスに興味を持ってくださって、まずは3回くらいやってみませんかって話になって。最初の1回目の組み合わせがめちゃくちゃ良くて! かすみ草とステラさんとタイトル未定さんとSTU48だったんですけど、どちらもSTU48の曲をカバーしてくれて、かすテラさんの『夢力』もすごい良かったし、タイトル未定さんの『暗闇』もヤバくて!