「セサミン」は本当に身体を若々しくするか
テレビのCMでは、ゴマの中に入っている「セサミン」が身体を若々しくさせるだとか、赤ワインの「ポリフェノール」がアンチエイジングにいいだとか、いろいろなものが喧伝されています。
その際「ファイトケミカル(Phytochemical)」という言葉が付いて回ります。ファイトケミカルの定義としては「食べ物の持っている天然の物資」「身体に良いとされるもの」などなど、実にザックリというか、曖昧なものです。
ですから、これにはいろいろなものが当てはまります。何か身体の中で悪いものと戦ってくれる「Fight-Chemical」などと勘違いしている人もいるようですね。
ファイトケミカルの定義に沿って考えれば「デザイナーフーズ・ピラミッド※」の上の部分に入っている食物はすべてがファイトケミカルです。
例えば、ニンニクの中に入っている「アリシン」とか「スコルジニン」という成分はからだにいいわけですから、ファイトケミカルに間違いありません。では、一日に10個も20個もニンニクを食べれば、健康になるのでしょうか?
私は患者さんからサプリメントについての相談を受けることが多々あります。
「プラセンタいっぱい摂っているから大丈夫ですよね?」
「先生、魚のEPA・DHAがいいんだって聞いたんですけれど」
「オメガ3、オメガ6が長生きにはいいらしいけど本当?」
もちろん、ひとつひとつ効能が証明されているものもいくつかあります。例えばアリから取れる蟻酸(ぎさん)というのは、強い酸で身体にいいと言えば身体にいい。これもファイトケミカルの一種であり、デザイナーフーズ・ピラミッドの中に入っています。
ひとつひとつ取ってみるとたしかにすごくいい。でも結論としては「どれがいいの?」「〇〇〇さえ摂っていればいい」ではありません。
では問題です。ファイトケミカルの全部が身体に本当にいいのでしょうか?
健康には欠かせない睡眠も、長時間になればなるほど、身体にいいわけではありません。身体にいいものだから、たくさん摂ればいいという考えはとても危険です。
「私、こんなにサプリメントを飲んでいます」
このように、自信満々に言う患者さんもいますが、私には正しいと思えません。睡眠に必要なメラトニンというホルモンも、たくさん摂れば発がん性があると言われています。
結局のところ「過ぎたるは及ばざるが如し」ということがすべてに当てはまるわけです。人間が生きていく上で絶対に必要な塩でも水でも酸素でも、大量に摂取すれば毒となってしまうからです。
アメリカ国立がん研究所が、がん予防に効果のある食品をピラミッド型の表にまとめて1990年に発表した。
※本記事は、今津嘉宏:著『115歳が見えてくる“ちょい足し"健康法』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。