がんを消す成分を3倍飲んだら、がんが増えた!
身体にいい食品に関して一番有名な研究として、カボチャやニンジンといった緑黄色野菜に含まれる「β-カロテン」というビタミンの一種の実験がありました。試験管レベルでは、β-カロテンを摂ると、なんとがんが発生しなくなるというデータが出たのです。ネズミの実験でも同様の結果が出ました。
この結果を受けて、アメリカのある州でβ-カロテンを3倍量飲ませた治験を行いました。すると、下がると期待された肺がんの発生率が3倍に増えてしまったのです。良かれと思って多く摂取したら、やはり「過ぎたるは……」になってしまいました。
結局、今回のように食事や睡眠など、健康にかかわることを突き詰めていくと、やはり「バランスが大切」という結論にたどり着きます。
私が、医者の立場から「身体に悪いことをするな、酒も飲むな、タバコも吸うな」と言うのは簡単なことです。
ですが、一般的なサラリーマンが、同僚や友人と一週間のうち2~3回は飲みや接待に行ってから締めのラーメンを食べて帰るという生活を、健康のためにガラリと変えられるかというと、変えられないでしょう。
「会社を辞めればストレスがなくなるよ」と医者に言われても、そう簡単に会社を辞められるかというと、できないはずです。
そうであるならば、今の生活は避けられないものだという前提に立った上で、ちょっとでもいいものを摂ったり、少しでも質のいい睡眠を取ったりするなど、ちょっとだけでもいいバランスを取って健康に過ごしていくことを目指すべきではないでしょうか。
生活をガラッと変える必要はありません。ビールも締めのラーメンもやめなくてもいいですから、その代わりにちょっとだけ朝や昼の食事を見直したり、睡眠をもっと重要視したりすることで生活習慣病からおさらばし、人間の生命の限界と思われる「115歳」を目指して頑張ってもらいたいと思います。
※本記事は、今津嘉宏:著『115歳が見えてくる“ちょい足し"健康法』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。