長かった梅雨が明け、まばゆく煌めく夏がやってきた! ――ところが、コロナ禍のなか迎える今年の夏は、小池百合子都知事いわく「例年とは違う夏」となることに。東京に住んでいるので近郊への旅行ですら、おいそれとはいかないし、友人と連れ立って「どこ行く!?」という雰囲気でもない。何も言えなくて……違った。何もできなくて……夏。

でも、何もできなくても、夏なんです。ギンギンギラギラの夏なんです。夏といえば、旅行(自粛!)に、花火(中止!)に、ひまわり畑で恥じらう恋(不可能!)。そう、いろいろ連想していて思い出したのですが、私は『きまぐれオレンジ★ロード』〔まつもと泉による漫画。1984年から1987年まで「週刊少年ジャンプ」にて連載〕のような夏を過ごしたかったのであります。

ヒロイン・鮎川まどかのバイト先(中学生だから本来はバイト禁止!)である純喫茶「アバカブ」の扉をカランコロンと開け、キレイな夏色のクリームソーダでも飲んで……。そうそう、こんなイメージ。

▲きまぐれオレンジ★ロード/まつもと泉

産後太りの40代に、鮎川まどか(15歳)のような甘酸っぱい恋はできなくとも、ビキニは着られなくとも――。でも、クリームソーダならいけるじゃないか! しかも、ステイホームで!

「よし」と膝を打った私は、昨年の夏に“ジャケ買い”ならぬ“装幀買い”した『空色のクリームソーダレシピ』(小社刊)を本棚から取り出して、レシピに狙いを定めると、一路、近くのスーパーへと向かった。

懐かしのクリームソーダは意外と簡単!?

いま、いわゆる「レトロブーム」のなかで、クリームソーダが受けているという。もちろん昔ながらの純喫茶で、氷をカラカラさせながら飲むクリームソーダは格別だが、自宅でも“あの”クリームソーダが作れることを『空色のクリームソーダレシピ』は教えてくれる。

なぜなら、ほとんどのレシピはグラスに氷を敷き詰めて、シロップや炭酸水を注ぐだけ! 彩り程度のトッピングさえあれば、喫茶店も顔負けの懐かしいクリームソーダを作ることができるのだ。

コツは、バランスよく氷を敷きつめること、それからトッピングのアイスを温めたディッシャーで載せることなど。さほど難しいようには思えない(半分はただの勢い)! そこで、一通りそれらに目を通した私は、さっそく狙いを定めたレシピのために買ってきたあれこれをテーブルにひろげた。

▲彩り程度のトッピングさえあれば、喫茶店も顔負けの懐かしいクリームソーダを作ることができるのだ

マジックアワーのクリームソーダ

まずはこちら。「今宵の空は、魔法の色。大切な人と過ごす、夢のような時間に魔法をかけて」というコメントに惹かれて「マジックアワーのクリームソーダ」を作ることに。まだ真昼間だし、ちょうど家には一人で“大切な人”はいないけれど、ま、いっか! 

ちなみに、クリームソーダを作っているプロセスの絵面も欲しいところだが、本当に、あまりに簡単なので、省略(※作り方は後述)。そして完成したのが、こちら!

▲マジックアワーのクリームソーダ

グラスの形状に丸みがあるため、本来のレシピより少々グレナデンシロップ(下部にたまっている赤いシロップ)の量を増やしたほうが、よかったかもしれないということ。

加えて、野村誠一よろしく“恋写”しているあいだにアイスが溶けてきている……という反省点はさておき、どうだろう。けっこう“映え”ているのではないだろうか!?

懐かしのクリームソーダ。レトロな雰囲気もありながら“映え”も狙えるあたり、いま人気が再浮上している理由に「さもありなん」とはげしく同意!

しかも、お味は喫茶店のアレ、そのままなんです。シュワシュワのソーダにクリームが溶けていく様子に、夏を感じつつ「魔法の色」に、しばしうっとり……。それにしても、本当に自宅で出来ちゃいました。なんか、ごめんなさい!