味噌汁で、栄養バランスと整える

味噌汁は、お好きですか。それぞれの家で、味噌汁の味は違います。親から子へ、味噌汁の味は引き継がれていきます。味噌汁は、味噌・ダシ・具材の組み合わせによって、毎日、飲んでも飽きない一品です。

味噌ひとつとっても、白味噌・赤味噌・合わせ味噌と、地域によって異なります。かつお・煮干し・昆布・シイタケと、ダシの取り方もそれぞれの家庭によって、好みが分かれます。そして、具材は山の物・海の物・季節の物と、四季折々さまざまな物が使われます。

皆さんは“世界四大スープ”をご存じですか。タイの「トムヤムクン」、フランスの「ブイヤベース」、ウクライナの「ボルシチ」、ここに中国の「フカヒレスープ」を加え、“世界四大スープ”と呼びます。

栄養学的に、それぞれのスープと味噌汁を比較してみると、特徴がよくわかります。酸味と辛味が美味しいトムヤムクンは、エビを中心として、香辛料が豊富に使われています。タンパク質の割合が、全体の半分を占めますが、食物繊維も多く、健康的なスープです。地中海に面したプロヴァンス地方の料理ブイヤベースは、脂質に富み、もっともカロリーの高いスープです。テーブルビートという甘みのある食材を使ったボルシチは、最も多くの食物繊維を含んでいます。そして、日本人に最もなじみの深いフカヒレスープは、タンパク質を豊富に含みますが、低カロリーです。

さて、味噌汁はどうでしょうか。三大栄養素であるタンパク質・脂質・炭水化物が、バランス良く含まれています。そして、特に優れているところは、最もカロリーが低いこと。なんと、味噌汁のカロリーは、世界四大スープの中で最も低カロリーなフカヒレスープの半分以下です。理想的なスープと言えるでしょう。この世界で最も理想的なスープである味噌汁を、健康に活用しない手はありません。

▲味噌汁で、栄養バランスと整える イメージ:PIXTA

では、味噌汁をどうやって、健康に活用すれば良いのでしょうか。

まず、朝の味噌汁は、ダシを効かせて塩分を控えましょう。味噌汁というと、どうしても、塩分に注意する必要があります。日本人の一日の塩分摂取量は、男性8g未満、女性7g未満、となっています。一般的な味噌汁一杯には、塩分が約1g含まれています。これは、薄口醤油小さじ一杯分です。実は、食パン6枚切り1枚にも0・8gの塩分が入っていますので、知らないうちに塩分を多く摂ってしまいます。

わたしたちの味覚は、一日のうち、朝が一番、味覚が鋭く、夕方になると鈍くなります。このため、朝は少なめの塩分でも、十分に塩味を感じることができます。つまり、朝は薄めの味噌汁にすることがポイントになるわけです。

そして昼の味噌汁には、腹持ちが良く、脂肪の吸収を抑制してくれる海藻類やキノコ類をたくさん入れましょう。昼食を食べる目的のひとつに、夕食を楽しむための準備があることを話しました。会社の付き合いで、宴会がある日や、友人との楽しい飲み会の日の昼食は、夜に備えた昼食のメニューにすると良いと思います。

最後に、夜の味噌汁には身体を温めて睡眠を促してもらいましょう。良い睡眠を得るために、からだが温まる食材としてネギ・生姜・ニラなどがおすすめです。具材として使っても良いですし、調味料としても良いと思います。

※本記事は、今津嘉宏:著『115歳が見えてくる“ちょい足し"健康法』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。