「断食」にはどういう意味があるのか

肥満にならないように、定期的に「断食」をしているという人も増えてきました。一日程度のプチ断食や週末断食でリフレッシュできるという人もたくさんいます。

断食の主な作用はふたつ。ひとつは、身体のリセットという意味で、お腹の中をきれいにするという物理的な意味。「消化・吸収・排泄」のうち、消化と吸収を完全にストップして排泄に集中することで、身体の内側からきれいになると言われています。消化器系の内臓を休ませるという意味合いもあるかもしれません。

もうひとつは、精神的な意味合い。「食欲に打ち勝って断食できた」「身体にいいことをした」という充足感・満足感は大きなものでしょう。私は後者、すなわち精神的な意味のほうが強いのではないかと思います。

今まで食べていたものを一度やめることによって、食に対する考え方も変わることでしょう。どちらかというと、食べないことによって起こるプラスよりも、食べなかったことによって悟ることに意味があります

精神的に食事に対する理解の仕方が変わることが重要で、そのためには一カ月でも一週間でも、3日でも1日でもいいのです。ただし、人間というのはなかなか短い期間では悟ることは難しいので、長い期間のほうが効果はあるのかもしれませんね。

ところで、私は断食をあまりおすすめしませんが、挑戦してみたいのであれば、くれぐれも無理のない範囲でやってみるのもいいでしょう。

ただし、あえてひとつだけ言っておくことがあります。例えば、末期のがん患者さんが、一週間食事をやめると極めて危険な状況に陥るでしょう。ついさっき緊急手術を受けたばかりの患者が、一週間断食すれば死んでしまうかもしれません。ある意味で、断食というものは、注意して行う必要があることを覚えておいてほしいのです

「ビーガン」と呼ばれるベジタリアンがいます。卵・乳製品・魚介類・肉など、動物由来の食材を一切禁止している最も厳しいベジタリアンです。

しかし「オボ・ベジタビリアン」は卵。「ラクト・ベジタビリアン」は乳製品を摂ることを認めています。必須アミノ酸などを補てんするために植物性のタンパク質である大豆や豆腐に加え、乳製品や卵を摂取するわけです。健康な生活を維持するためには、三大栄養素をバランス良く摂ることが大切なのです。

人間が生きていくうえでの三大栄養素は、タンパク質(肉)と脂質(脂)と炭水化物(お米)。この理想的な割合は、タンパク質が20~30%、脂質30%、残りが炭水化物と言われているので、だいたい2:3:5の割合です。

ということは「炭水化物抜きダイエット」は健康的ではないということ。タンパク質と脂質を食事の主体とすると、繊維質が減ってしまうからです。

私が提言している絶対理論は、タンパク質と脂質の摂取量を制限しよう、というのではなく、摂取が足りなくなりがちな野菜類や食物繊維を摂らなければダメだということで、それ以外のものは自由に食べていいという考えです。

▲野菜類・食物繊維を摂らなければダメ イメージ:PIXTA

※本記事は、今津嘉宏:著『115歳が見えてくる“ちょい足し"健康法』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。