タレントの岸部四郎さんが8月28日に亡くなっていたことが、9月15日に発表された。タイガースやドラマ『西遊記』(日本テレビ系)で活躍し『ルックルックこんにちは』(同)では名司会者ぶりを見せ、財テクで大成功を収めるも借金を重ねて破産。

一時は人生のドン底を味わうも、その後は『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(同)で落とし穴に落とされた時に叫んだ「俺を誰や思てんねん! 元金持ちやぞ、俺は!」という、自虐的なセリフが受けてバラエティー復活のきざしを見せ、週刊誌では『岸部四郎の無責任人生相談 僕に聞いてどうすんの?』(週刊実話)の連載を受け持つまでに至った。

飄々と語られる相談へのアドバイスは、上から目線になることもなくウイットに富んだ。いつの間にやら自分が置かれた状況へのぼやきや、自分の過去の話に終始することもしばしばだったが「上だけを目指さなくてもいい、下を見てもいい」というスタンスは人気を呼び、約2年間続いたという。

そこで今回は、令和に時代が移っても色あせることがない、珠玉の解答をピックアップし紹介する。

▲岸部四郎無責任人生相談 僕に聞いてどうすんの?

 

相談1:息子がドラッグに手を染めないか心配です

芸能界のドラッグ汚染が問題になっていますが、音楽をやるといって、東京に行っている24歳の1人息子が手を染めやしないかと心配です。一般人にもそんなに簡単に手に入れることができてしまうのでしょうか? また岸部さんは、このドラッグ問題をどう思いますか?(56歳・公務員)

岸部 う〜ん……まあ、僕も完全に薬物中毒だからね。今日だって、イ●にパ●シロンを重ねて飲んでるし。薬物乱用気味なのよ(苦笑)。

薬物中毒なんていうと、ひとつ間違えたら誤解されかねないけど、ホントにいろんな薬を飲まされてるんだから。循環器系の薬に、不整脈を治す薬……あと、血糖値を下げる薬でしょ…もう、1日に7種類は飲んでるのよ。僕、歩くとフラつきがあるでしょ。これ、薬の副作用やと思うんだよね。

糖尿の気もあるのかって? うん、あるのよ。まあ、そんなにひどくはないんだけど、昔は大好きだったステーキなんかも、全然食べられなくなったから。昔は350グラムを2枚食べてたんだけど、それでちょっと血圧がヤバくなっちゃって、今、血圧を下げる薬も2種類飲んでる。今は食べても110グラムぐらいかな。

だから、僕の場合は薬物中毒っちゅうても、飲まなしゃあないのよね。

……で、相談はなんだったっけ?

あ〜……まあ、ドラッグは1回手を染めちゃうと、絶対に入り込んでいくからね。1回でも、絶対にやっちゃいかんのやけども、スッと入り込んできよるんでしょうね。

僕なんかでも、体調が苦しいときはフッと考えるときがあるし、こういうときに心の隙間に入り込んでくるんだろうな〜って思うけど、まず、僕の場合はお金がないから……。お金がなかったら、そもそも買えないんだから、話にならないでしょ。海外の有名なスターでも1度はハマる人が多いけど、相当、お金使うでしょ。

そういや、僕は1968年、19歳のときにアメリカに渡って、1年間あっちで暮らしてたことがあるじゃない。当時はヒッピームーブメント全盛の頃でね。コンサートなんか行くと、マリファナが隣から回ってきたもんですよ。

じゃあ、岸部四郎はマリファナをやってたのかって?

いやいや、僕はヒジョ〜に煙に弱いからね。タバコも吸うたこともないぐらいだし、煙を吸うっていう行為が根本的に嫌いやから。

そのおかげで、マリファナの系統は嫌いだし、そういうことに染まることもなかった。だから、コンサートでマリファナが回ってきても、吸ったフリだけしてたよね(笑)。

とにかく、アドバイスとしては、このお父さんは息子に小遣い銭をあんまり与えないことやね。それと、どういう仲間と付き合ってるのかを把握するっちゅうことぐらいしかないんじゃない。あと、染まる染まらないは、本人の性格だから。

あ〜、あかん…。なんか目眩してきたから、そろそろ薬飲まな(といって、席を立つ)。

飲み過ぎ? しゃあないのよ、僕の場合は。違った意味での薬物中毒だから。