相談2:『2ちゃんねる』に悪口を書かれて困ってます…
『2ちゃんねる』(※現・5ちゃんねる)で、あることないこと書かれて困っています……。私の早期昇進をやっかむ連中の仕業のような気がしてならないんですが、どうすればよいでしょうか?(36歳・広告)
岸部 僕も書かれたことあるけど『2ちゃんねる』で書き込まれたら嫌な気はするよね……。2ちゃんでは、けっこう人気があったから、僕も。
今みたいに目が悪くなる前までは、僕もときどき(2ちゃんは)観てたのよ。「誰が一番強いか?」みたいな、アウトローな人たちの最強伝説とか結構好きだったから。
でも、自分の悪口を書かれるのはね……。嫌なことを書かれても、無視するしかないんだよ。いちいち気にしたってしゃあないし、やってられないから。
僕はブログをやってるけど、コメント欄に、ちょっとキツイコメントがあっても「へぇ〜」って受け流して笑ってるもの。いちいち怒りの矛先を向けないの。
例えば、僕が一昨年の年末に『全財産1万3000円』って書いて話題になったときも「贅沢言ってんじゃねーよ」とか「俺なんてコップ1杯の水で1日過ごしたことあるよ」みたいな書き込みがあったワケ。僕はただ「年末、一時的に財布にほとんどお金が入っていなかった」って話を書いただけで、それを「水1杯で1日過ごした」って話と比較されても困るんだよね。
それと一緒で、誰かの意見に対して、極論を言う人って絶対いるからさ。変に乗っかって反論したところで、また反論してくるし、結局、無視するしかないのよ。
でも、あの年末はキツかったよ。ほとんど文無しで千葉の姉んとこへ行って、しばらく飯食わせてもらってたもの。昔の僕ならカードを持ってたから、金がなくても、なんとかなったけど、破産してからはカードも持てなくなってるからね。ローンも一切組めないし……。
だから、今の僕は現金を持ってなきゃタクシーも乗れないんだけど、昔とは僕自身の生活が違うから5000円しかなくても全然焦らない。今は、家まで帰れさえしたらOKだから。
それにしても、いいかげん僕もカードが取れてもいい頃なんだよな〜。破産から、もう10年過ぎてるのに、いまだに一番チープなカードでも許可が下りない。
僕は免責っちゅうのをもらってるし、法的にもすべてにおいて時効なハズなんだけど、現実に申し込んだら「今回は都合により」っていうのが来たもんね……。
もう追求しないことにしたけど、いまだにカードが持てないのは、ちょっと納得いかないよねぇ。
相談3:芸人の小説が売れてますが…
劇団ひとりの『陰日向に咲く』や、麒麟の田村裕の『ホームレス中学生』、品川庄司の品川ヒロシの『ドロップ』など、芸人の書いた小説が軒並みベストセラーになり映画化されていますが、こういった芸人本ブームをどう思いますか?』(42歳・会社員)
岸部 芸人本ねえ〜……。今はお笑い芸人に人気があるから、出版社がそういう話を持っていくんじゃないの? その人に、ベースになる面白い体験があればね。
僕、今朝起きて、ふっと考えたことがあるのよ。もし『人生すごろく』ちゅう、すごろくがあるならば、僕は上手にアガれてないなぁって……。60歳過ぎでアガリっちゅうゴールがあるとしたら、僕は、その手前で振り出しに戻っちゃったような人生だからね。
人生って、すごろくに例えると、一回休みとか、二つ前に進むとか、いろんな事があったりするじゃない? みんな若いときはスタート地点が一緒なんだけど、定年近くなって、孫が成人してアガリを迎える頃、さてどうなのか? っていうと、僕は失敗者なんだよ。
でも、僕の知人は、うまく60歳で引退して元気に余生を楽しんでる。うまく生きれば、この先20年ぐらい悠々と退職金ももらえて……、本来そうあらなきゃいかんのに、僕はといえば、すごろくの過程で、破産とか、眼が悪くなったりとか、いろんなことが起きてる……。
まだまだサイコロを振らなきゃ、ゴールに向かえないワケですよ。仕事を引退もできないもんね。引退したら食っていけないから。
つくづく思ったよね、人生はすごろくやって……。
そういう体験を元に、自叙伝的なものを出したらどうかって?
僕、本自体は何冊か出してるんだけど、最初に出した本が1番売れたんだよ。『岸部シローの暗くならずにお金が貯まるー貯めだしたらとまらない』(’83年/主婦の友社)っちゅう本なんだけど。
これがベストセラーになって20万部ぐらい売れて、お金を貯める人っていうようなレッテルを貼られたの。それ以降も、お金に関する本を4~5冊出して……まあ、あとのは、そんな売れなかったけど……。
3年前に出した『後ろ向き~一週間に一日幸せならいい~』って本なんかは、出版社の社長にも「面白そうだからいけますよ」って言われて、発売初日なんか、書店にものすごい平積みされてたのよ。
「これはいけるな!」と思ってたら、比較的近い時期に、同じ幻冬舎から出てた劇団ひとりくんの本に食われちゃったんだよね……。
ただ、もし今後、また本を出すにしても、もう借金とか破産の話とかは書きたくないんだよ。アメリカに渡った頃の話とか、タイガースのバンドボーイやってた60年代の話なんかは、けっこう面白いからキッカケさえあれば書いてもいいかなとは思うんだけど……。
僕の半生が実写化されたら? いいなとは思うけど、モデルがいないんじゃない?
小説は…創作能力がないから、僕には書けんなあ〜。
※本記事は『週刊実話』「岸部四郎の無責任人生相談 僕に聞いてどうすんの?」より抜粋加筆編集したものです。