日本のアダルトショップの元祖と言っても過言ではない四ツ目屋にはどのような商品が売られていて、店内はどのような雰囲気だったのでしょうか。趣味で古典籍を蒐集して秘薬を再現したり、色事にまつわる記事を書いている春画ールが深堀りします。

アダルトショップの元祖「四ツ目屋」で売っていたもの

▲四ツ目屋の紋。『床の海』より抜粋　(春画―ル:所蔵)
四ツ目屋とは？

秘具秘薬を販売していた薬屋。
“四ツ目結”紋の暖簾をかかげた江戸両国薬研堀にある四ツ目屋忠兵衛の店と、“四つ花菱”を紋とした両国通り吉川町高須屋安兵衛の店とがある。

日本のアダルトショップの元祖と言っても過言ではない四ツ目屋には、どのような商品が売られていて、店内はどのような雰囲気だったのでしょうか。

▲『床の海』はアダルトグッズのカタログみたいだ

江戸期に出版された性典物(性のハウツー本)には、アダルトグッズを使うことについてこう書かれています。

「男女喜悦閨房の道具妙薬は色事秘戯(いろごと とぼし)のひとつの楽しみなり。また密かに通じて懐胎せぬに用いる弁理(べんり)もあることなり」

つまり「セックスで性具や秘薬をを使うことはセックスにおける楽しみのひとつである。またコッソリ交わって懐胎しないための用心に利用できることもある」ということである。そして、この本には四ツ目屋で購入できる、さまざまな商品名と使い方が説明されている。

▲右ページの「通和散」は、陰間のおしりに使う潤滑剤のこと

たとえば、

海鼠の輪(なまこのわ)…水牛の角にてつくり雁(カリ)をかたくして玉茎(へのこ。男根のこと)を太くし精汁を漏らすことなき道具なり

張形(はりがた)…玉茎(へのこ)の形を水牛の角にて作る。婦人ひとり寝の楽しみに使う道具

吾妻形(あづまがた)…陰門(ぼぼ。女性器のこと)の形をビロードの生地でこしらえるものなり。ひとり寝の男床に用いるものなり

通和散(つうわさん)…衆道(かげま)に用いる薬なり。”ねりぎ”とも言う。いずれも四ツ目屋忠兵衛の店で買える。

ほかにも「革形(かわがた)」と呼ばれる商品も販売されていたようなのですが、これは現代で言う「コンドーム」です。しかし動物の皮から作られるため、粘膜を傷つけそうだし絶対に気持ち良くない……。

▲手前に見えるのは陰茎に装着する道具たち

そして春画を鑑賞してみると、さまざまな性具が画中にも描かれています。