国家の命運を外国に委ねるな! 独立国としての「フリーダム(freedom)」を、外国と官僚に依存した戦後体制によって奪われている日本。国際情勢や国内の諸問題を通じて、真の「フリーダム(freedom)」とは何か? 『日本は誰と戦ったのか』(ベストセラーズ)で第1回日本再興大賞を受賞、第20回正論新風賞を受賞した江崎道朗氏が日本再建の道はどこにあるのかを示す!

福沢諭吉が説いた『一身独立して一国独立す』の気概

「日本を再建するためにどうしたらいいのか」
こうした「問い」に対して、さまざまな「回答」があります。

「偏向マスコミが悪い、マスコミを是正することが重要だ」と答える人もいれば、「日本を裏から操っている特定の外国勢力を排除することが先決だ」と答える人もいます。「最終的に日本の政治は、日本の政治家に頑張ってもらうしかないのだから、政治家に頑張ってもらおう」と考える人もいます。

こうした方々に対して私は常にこう伝えています。

「マスコミや特定の外国勢力を批判することも時には必要だし、政治家にも頑張ってもらわないといけないが、日本をよりよくするためには、明治の思想家、福沢諭吉が説いた『一身独立して一国独立す』の気概、つまり自らが懸命に賢く強くなり、しっかりと稼ぎ、しっかりと家族と地域を支え、国を支えていく国民が増えていくことが重要だ」

明治24年(1891年)頃の写真。日本銀行発行紙幣の原画となる。

幕末の維新の志士たちの和歌や手記などを読むと、彼らの多くが国難を打開するためには、幕府や既存の政治勢力に頼らず、自分自身が懸命に学び、見識を高め、行動し、独立国家を支えるに足る人物たろうとすることが大事だと考えていたことが分ります。

そして、この国家の独立を担う国民の気概こそが国家の興隆にとって重要だということを、ほかならぬ同盟国アメリカの保守主義者たちも考えていたのです。

平成20年にアメリカを代表する民間シンクタンク、ヘリテージ財団の研究員リー・エドワーズ博士による『現代アメリカ保守主義運動小史』(邦訳は明成社刊)を邦訳・刊行しました。この邦訳に際して最も問題になったのが「liberty」や「freedom」の訳語でした。

英語の「liberty」も「freedom」も日本語に直すと共に「自由」ということになりますが、邦訳を担当してくださった渡邊稔さんと話し合っているうちに、後者の「フリーダム」は「自由」というよりも「自主独立」と訳す方が適切ではないのか、という話になったのです。

リー・エドワーズ博士と『現代アメリカ保守主義運動小史(明成社)』

といいますのも、アメリカの保守主義者たちは、政府による福祉などに依存せずに、また、政府の規制に過度に干渉されることなく、独立した個人として(神への信仰と道徳・慣習に基づいて)自分のことを自分で決定できる自由を「フリーダム」と呼んでいるのです。

政府による社会保障を拡充することは増税につながり、個人の財産権、ひいては国民の自由を侵害することになる。一方、逆に政府による規制が少なくなり、税金が安くなれば、それだけ、国民の「フリーダム」は強まり、国民の経済は活発になり、豊かな国民が増え、結果的に国家の基盤を強くすることになると考えているわけです。

このようにアメリカの保守主義者たちは、個人の「フリーダム」を守っていくことが国家の「フリーダム(自由、自主独立の精神)」を守ることになるという捉え方をしているのです。

※本記事は、江崎道朗:著『フリーダム 国家の命運を外国に委ねるな』(展転社刊)より、一部を抜粋編集したものです。

『国家の命運を外国に委ねるな!』は次回2/11(火)更新予定です、お楽しみに。