アメリカ人はどこからの移民が多いのか?
アメリカ合衆国は「移民の国」といわれます。もちろん、アメリカ先住民もいますが、人口に占める割合は僅かです。それでは、どこから来た人が多いのでしょうか。
独立当初はイギリス系(イングランド・スコットランド・スコットランド系アイルランドの合計をこう呼んでおきます)が65パーセントで、黒人奴隷が19パーセント、ほかにドイツやオランダなどでした。
19世紀以降では、ドイツからの移民がもっとも多く中西部の農民の主力になり、イギリス・イタリア・アイルランドがそれに次いでいましたが、近年ではメキシコがもっとも多く、中国なども伸びています。ちなみにトランプさんはドイツ系、ブッシュ家やバイデン家が典型的なイギリス系です。ケネディ家はアイルランド、ジャクリーヌ夫人の実家はフランス、ペロシ議長やクオモ知事はイタリアです。
メキシコなどからの移民はヒスパニックと呼ばれていますが、人種ではスペイン系・アフリカ系・インディオ系など区分せずですので、ヒスパニックと非ヒスパニックを分けたり、ヒスパニックかどうかは問わず人種で分ける統計しかありません。現在は20パーセント弱ですが、2050年には28パーセントと予想されています。
ヨーロッパ系でどこの国からが多いかは、移民の数とは少し違います。イタリア系とかアイルランド系のように、カトリック系は子だくさんだから伸び率が高いのです。これはヒスパニックの人口比がどんどん増えている理由でもあります。
また、苗字からの推計も可能ですが、発音のやさしさなどからドイツ系がシュミットをスミスという英語風のものに変えるということも多いし、アフリカ系の場合は奴隷主の英国風の名前を引き継いでいるのが普通です。アメリカの黒人は白人男性と黒人女性の子の子孫というのが、その反対より圧倒的に多いのです。
2010年の国勢調査のときに、複数回答可能で自己申告されたものでは、ドイツ系17パーセント、アフリカ系13.6パーセント、イギリス系12.6パーセント、アイルランド系11.6パーセント、メキシコ系10.9パーセント、アメリカ系6.7パーセント(先住民系ではない)、イタリア系5.9パーセントなどで、このあたりが現状でしょう。
別の調査では、アメリカ生まれでない人を「移民」だとすると13.3パーセントで、そのうち、帰化していない人が7.1パーセント、不法な形で入国しているのは4.4パーセントということです。
※本記事は、八幡和郎:著『アメリカ大統領史100の真実と嘘』(扶桑社:刊)より一部を抜粋編集したものです。