『My Way』を歌ったことに込められたメッセージ

▲アンコールの楽曲やパフォーマンスには大いなるメッセージが込められていた

第1部の満足度も非常に高かったが、たしかにそれは「見て、楽しむ」という部分でのもの。さらに一歩、踏みこんで「一緒に参加して、楽しむ」。わざわざZepp Hanedaまで足を運んだからこそ得られるプラスアルファの「価値」。これにより、ライブの良さを再認識してもらい「また来よう!」と思ってもらえたら……この日の裏テーマは、コロナ禍でのライブシーン全般に関われる壮大なものだったのだ。

そういうことを頭に入れたうえで、アンコールに『My way』が配された意味を考えると、また趣深い。メンバー的には完全にネタになってしまっているようだが、かつて市川優月が歌っていたときとは、もう状況が違う。

たしかに当時は、歌が上手ではない彼女が歌うことに面白みがあったかもしれないが、100日チャレンジで歌唱力向上に取り組んでいる今、きっと聴こえ方も違ってくるはずだし、アメフラっシが今、そしてこれから「生きていく道」「選んだ道」というものは、この日のライブからも伝わってきたはず。アンコールで歌ったということは、もう「これからの私たちが往く道」を提示した、と受け取っていいだろう。

まだまだ予断を許さない状況が続いているが(実際、今回のライブも緊急事態宣言発令で3週間、延期を余儀なくされた)、あくまでもアメフラっシはライブで生きていく。その先にはメジャーデビューがあり、さらにその先にはもっと大きな会場でのライブが待ち構えている――特に今後についての大きな発表は何もなかったが、もう、この意思表示こそがすべてだったのである。

新曲の『Staring at You』では、指を3本立てた「スリーポーズ」でメンバーが星の形を作る。ただ、4人ではどうしても星の形は完成しないので、最後の1ピースを観客に埋めてもらう、という振付がなされた。

第1部では、なんの説明もなく曲に突入してしまったが、第2部では丁寧なレクチャーをしたうえでの披露となったので、観客もその意味とアクションに納得。自分の視線のなかだけで、メンバーと一緒に星を作っているように見えるのは、とてもいい演出である。1000人の観客がいたら、1000通りの名シーンがそれぞれの瞳のなかで展開されているわけで、これも『メタモルフォーズ』でのジャンプと併せて、アメフラっシのライブにおける新定番となりそうだ。

▲観客との一体感があって完成する「スリーポーズ」は今後の定番になるはずだ