今年11月のアメリカ大統領選挙に向けて大きな山場となった3日の「スーパーチューズデー」。民主党の候補者選びは穏健派のバイデン氏が躍進、とニュースで伝えられている。ここでアメリカについて考えてみよう。例えば、「アメリカ・ファースト」は自分の国の事しか考えないエゴイズムのように曲解されているようだが、全然違うと政治評論家の倉山満氏は主張する。
※本記事は、倉山満:著『バカよさらば』(ワニブックス刊)より、一部を抜粋編集したものです。
米欧の人々にとって、アジアは左遷の地
世の中には、一回五万円も払うセミナーで「東日本大震災はユダヤ人が地震兵器を使って起こした」というヨタ話を聞いている人もいます。お金の使い方を間違えているのではないでしょうか。
ユダヤ、ロックフェラー、フリーメーソン、イルミナティ―……陰謀論のタネは尽きません。では、仮にその人たちが陰謀を企んでいるとしましょう。世界を支配している彼らが、果たして日本に何をしようというのでしょうか?
少しでも世界の金融事情を知っていれば分かりますが、米欧の人々にとって、アジアは左遷の地です。左遷だと感じないのはせいぜいシンガポールまでで、韓国や日本にくるなど、本当に「極東」の感覚です。ビジネスマンでこれなのに、「世界の支配者」がそんな「辺境の地」である日本をどうしようというのでしょう。
残念ながら、「日本」は、大日本帝国が滅んで以降、国名ではなく土地名なのです。
アメリカや中国は日本を挟んでにらみ合っています。だから、日本は主戦場です。しかし、あくまで土地として重要なのであって、日本征服に血道をあげているわけではなく、米中の抗争のワンイシューにすぎません。
ならば、アメリカや中国が何を考えているかを探る方が、「ユダヤ陰謀論」を信じるよりもはるかに有益です。
民主党政権時代の反日的なアメリカ
ここでは、アメリカについて考えます。
日本人が見ているアメリカは、だいたいが反日的なアメリカです。第二次世界大戦後、アメリカでは主に民主党が政権を握ってきました。
日本に戦争を仕掛けてくれたフランクリン・ルーズベルト、原爆を落としてくれたハリー・トルーマン、人権外交と称して日本どころか世界中をかき回したジミー・カーター、そして中国にのめりこんだビル・クリントン。
ベトナム戦争その他で苦しんでいたJ・F・ケネディやリンドン・ジョンソンは、日本にとっては比較的マシな大統領だったでしょう。
最近では、バラク・オバマが「アメリカ封じ込め政策」と言われる引きこもり政策で、外国に関心を持ちませんでした。引きこもった挙句、「男子トイレと女子トイレの区別をなくす」などと訳の分からない政策を推進していました。それでも日本の安倍首相が靖国神社に参拝しようものなら「失望した」などと声明を出してきます。
民主党の人間が大統領になると、日本にとっては碌なことがありません。ただ、そんな民主党政権の対日政策を主導しているのは誰か。国務省(普通の国の外務省にあたる)です。オバマ政権の「失望」声明も、国務長官の名前で出されました。