リモートでの打ち合わせが当たり前になりつつあり、これまで対面で打ち合わせをしてきたベテラン世代でも対応していかなければいけません。でも今さら「こんなときはどうすれば……」と若手に聞くのも気恥ずかしい。そこで中小企業向け営業コンサルティング会社の代表である大塚寿氏に、オンライン会議で起こり得るトラブルの解消法を紹介してもらいました。
こんなトラブルのとき・・・どうする?
「相手の声がよく聞こえない」
これは、オンライン商談上のマナーと割り切ってしまって、商談が始める前にお互いの「マイクテスト」をルーティン化してしまうのがベストです。
いきなり本題に入らず、最初の2分程度を商談の場作りにあてる「2分の法則」を、冒頭でやってしまうのがいいでしょう。「私の声、クリアに聞こえてますでしょうか?」とこちら側から確認して、相手側の確認に移る段取りで行います。
同じ会議室に複数名いてマイクスピーカーを利用する際でも、設定によってはハウリングを起こしますので、その際は初めての人に対しても遠慮せずに、今、起きている現象を伝えましょう。対処法がわかるなら「設定を、“コンピューターオーディオから退出”にされていますでしょうか」とか声をかけます。
環境によっては、音声がプツプツと途切れやすくて対処のしようもないこともありますが、その際でも最初に「お声が聞こえにくいのですが……」と伝えるべきです。イヤホンマイクを近づけて話していただくだけで、改善することも多いです。
ついでに、相手がビデオオフ・カメラオフになっている場合、あえてそうしている人もいれば、設定で自動的にオフになっていて、気づかない人もいますので、1回は「もしかして、カメラオフになっていますが……」と婉曲的に聞いてみるのもアリです。
会社によっては通信環境を安定させるために、あえてビデオオフでオンラインミーティングを行う会社もあって、ビデオオフが癖になってしまっているケースもあるからです。しかし、事情があってビデオオフにしているであろう場合は、相手の反応がわかる方法を展開するのがスマートな対処法だと思います。
「同時に話し始めてしまうのが気まずい」
基本的には気にせずに、オンライン商談はそういうものだと割り切ってしまうのが正解です。むしろ、同時に話し始めてしまうのは良いことで、相手に聞きたいこと、話したいことがある証だからです。
そうはいっても対処策が知りたい人のためには、“「マイターン」「ユアターン」話法”をお勧めします。「マイターン」「ユアターン」は「私の番」「あなたの番」という意味ですが、よく戦争映画やテレビの番組で、無線やトランシーバーで応答しているシーンで「〇〇〇どうぞ」「とか、洋画では「〇〇〇オーバー」というシーンがあります。その「〇〇〇どうぞ」の「どうぞ」の箇所で、“間”を取るようにする話法のことです。
もちろん「どうぞ」は口には出しません。その“間”を意識するだけで、同時に話し始めてしまう現象はかなり減ります。
「対話とメモのバランスが取りづらい」
対話に集中するとメモが飛び、メモに集中すると「接続障害?」と誤解されてしまったりします。オンライン商談でも、メモはいつもの内容を記録するスタンスで問題ないのですが、いつもより大きめな字に加え、乱雑覚悟で臨むのがいいでしょう。
走り書き、なぐり書き覚悟でメモするとして、オンライン商談直後に5分以内の振り返りの時間を設けて、自分でも読めないほどの箇所は、赤ペンチェックして訂正しておけば済む話です。商談直後であれば、記憶も鮮明ですので、該当箇所はすぐに思い出せるはずです。
そうした振り返りや、次のアクションの段取りもあるので、オンライン商談の時間は40分にすることがお勧めです。いろいろなパターンでやってみて、60分では長い、30分では短いと感じたのが率直なところです。40分刻みだと1日の商談数も多くなるので、合理的な時間であるはずです。
「作戦会議ができない」
自社側が複数名で、各自テレワークでオンライン商談に臨む場合で、どうしても作戦会議が必要な場合は、オンライン商談とは別にチャットを立ち上げ、誰がどう回答するかなどは、そのチャットでやり取りする方法があります。
ただし、この方法は皆がチャットに慣れていて、かなりなスピードでやり取りできることが前提となりますので、デジタルネイティブではない世代には不向きかもしれません。
その場合は、あらかじめ、やんわりと各自の役割分担を決めておいて、その範囲内で対応し、その範囲外の質問が出たときには「自社側の司会役の判断にする」というルールにしておくのがいいでしょう。
※本記事は、大塚寿:著『〈営業サプリ式〉大塚寿の「売れる営業力」養成講座』(日本実業出版社:刊)より一部を抜粋編集したものです。