感情の伝わるセリフ回しとファンタジックな世界観のコントや漫才で話題となっているビスケットブラザーズ。「キングオブコント2019」決勝進出から多くの人に知られるようになったふたりは、2021年「第51回NHK上方漫才コンテスト」において彼ららしさの光るコントで優勝した。

そして、今年1月に大阪と東京で『ビスケットブラザーズ第10回ネタ単独ライブ「ファ年玉」』の開催が決定した。東京での単独は初めてとなるふたりに、仕事で上京したタイミングでインタビューを敢行。取材前には東京で一番楽しみにしているという“ランチをどこで食べるか?”という議論を、スマホ片手に真剣に行なうふたりの姿があった。

※本記事は『+act.(プラスアクト)2022年2月号』(ワニブックス:刊)より、一部を抜粋編集したものです。

1度はスルーされた東京での単独ライブ

――東京でのお仕事は増えてきていますか?

原田泰雅(以下、原田) ライブとかはちょいちょい入れていただいているんですけど、テレビもちょっとずつ増えてきてます。

きん 月1回くらいは毎月来させてもらってて、大宮にもよく行かせてもらってます。

原田 大宮の街並みってめちゃくちゃいいですよね。コロナ禍なので行けないですけど、あそこで酒飲みたいっすねぇ。お弁当もめっちゃおいしくて。

きん めっちゃおいしい! もう中学生さんが「好きなもの頼んでいいよ」って言ってくださって奢ってもらいました。

――そして、1月に東京で初めての単独ライブを行なうことになりましたね。

きん 実は過去に1度、単独開催を企んでたことがありまして。

原田 2019年、キングオブコント決勝終わりですね。

きん 1回やってみたいですって希望を出したんですけど、流れたというか。まぁまぁ……みたいな感じでたしなめられて(笑)。

原田 飼い犬でいうところの、お座り、みたいなことやったんですけど、ようやく実現できました。満席になったら定期的に東京でも開催できるかなと思ったりもしてます。

――東京のライブでのお客さんの反応は、いつもどんな感じなんですか?

原田 個性的なコントをやる人たちが集まるようなライブではめっちゃウケるんです。けど、普通の寄席では“太ったふたりがなんかしてるなぁ”くらいの反応で。

きん 全然興味持たれてないし、全く響いてないやん(笑)。まず太ったひとりが出てきたなぁって思われて。

原田 で、また出てきた人も太ってるなぁって。

きん そこから5分間、太ったふたりがなんかしてるなぁっていう空気がいつも流れてます。

原田 東京に来るとき、僕らがいつもよりちょっと変なネタを持ってきてもうてる可能性もありますけどね。わざわざ呼んでもらってるので、底のほうにある濃いネタを持ってきて出すんですけど、手を広げたら砂利しか入ってなかったというか。

きん で、お客さんの反応を見て、毎回ハッとするんです。

原田 ちゃうわって。NGKやったら確かに持っていかへんなって思うんですけど、楽しんでほしいと思い過ぎて、そういうネタを持ってきてしまうんですよね。

ファ年玉の「ファ」はファットの「ファ」

――単独となると、更に濃いネタが見られそうですね。タイトルの『ファ年玉』とは?

きん ファットなお年玉で、ファ年玉です。ファットっていうのは、もちろん僕たちのことなんですけど。

原田 僕ら、ネタじゃない単独ライブをずっとやっていて。

きん そのタイトルがむっちゃ長いんですよ。なんやっけ?『拙者、センター分けにて候~同時上映』……えーっと、青く優しく……やっけ?

原田 それはちゃう。えーーっとねぇ。

――全然出てきませんね(笑)。

きん ひとつ憶えてます。『さようなら四つ葉のお兄さん~同時上映~京子ちゃんの色の世界』。毎回こんなタイトルやったんですよ。

原田 同時上映なので幕間も映画みたいなVTRにして、ほかの芸人さんに出演していただいてたんですけど、コロナでできなくなって。で、ネタ単独としてやることになった1発目のタイトルが『Fat X'mas』。

きん 12月やったんでね。

原田 で、次が『おファな(花)見』。

きん 春ですよね。ファットな人をみんなが見に来るっていうのと、お花見をかけてます。ファットはかっこいい、デブいという意味があって。

原田 僕らは別にファットでありたいというわけじゃなく、現実がそうやというだけ。僕らの永遠のテーマとして、ダイエットは一生あるというか。ずっとダイエットしてるので、もしかすると1月の単独ではファットじゃない可能性もあります。

きん そうなったら申し訳ない! ファットちゃうやんけって思われた人にはね、返金対応させていただきます。

――じゃあ、ファットかどうかも劇場に足を運んで確かめていただきたいですね。開催までかなり時間がありますが(注:インタビューは2021年11月中旬)、どんな内容になりそうですか?

きん 大阪は配信があるんですよ。

原田 やから、どうしようかなって。どっちも見に来てくれる人がいるなら、別々に楽しめるような作りにできればと。まぁ、ファンタジックなネタがいろいろとできたらいいですけどね。

きん ファ年玉のファは、ファンタジーのファではないんですけど、ファンタジー感は出したいです。

――コントと漫才の比率は?

原田 全部コントの予定です。いずれは漫才の単独もやってみたいですね。

――ネタを作るのはいつも早いほうですか?

原田 作り出したら、めちゃくちゃ早いんですよ、僕。ただ、ネタ作り出すのはめちゃくちゃめんどくさいんで、お酒とか飲みながらちょっとずつぼーっと考えて、このネタとこのネタとこのネタってメモしていって。人と喋ってるときに思いついた展開とかを書いて、背骨がどんどんできてきたら7本くらい一気に書きます。あと、設定の段階で、きんちゃんにどう思う? って聞いて、いいんちゃうって言われたら書き始めて、大部分を完成させてから、ふたりで合わせていく感じですね。まぁ、単独は僕が全部書くことが多いですけど。

きん ネタ合わせの進み具合は、やっぱりスムーズなものとそうじゃないものがあって。

原田 3~4つ揃ってきて、これと違う感じのネタをって考えになった瞬間、めっちゃしんどなってくるんですよ。ただの会話っぽいネタばっかりになったら、やっぱり違うものを入れたいですし。

きん その辺、単独の難しさですよね。

ビスケットブラザーズさんへのインタビュー記事は、1月12日発売の『+act. (プラスアクト) 2022年2月号』に全文掲載されています。