『キングオブコント2021』で初のファイナリストとなった男性ブランコ。実力派コント師として長年ライブシーンでは知られた存在だった彼らは、昨年末に『M-1グランプリ2021』の敗者復活戦でも存在感を示す。ふたつの大きな賞レースで注目されたことで、一気に知られる存在となった。

今年2月にはホームグラウンドであるヨシモト∞ホールで、単独ライブ『ヘッジホッグホッジグッヘ』を開催し、新ネタ6本を披露。更に、その1カ月後となる3月20日に同劇場で、3月24日にはナレッジシアターでの単独ライブ『変身東京ウミウシ』と『変身大阪ウミウシ』の開催を発表した。多くの人に存在を知ってもらう大変さを、身をもって味わってきたふたりは、これからも一番やりたいことだと断言するコントへ、全身全霊を注いでいく。

※本記事は『+act.(プラスアクト)2022年4月号』(ワニブックス:刊)より、一部を抜粋編集したものです。

『KOC』で優勝するためにたくさんネタをやるしかない

――2月の単独ライブが終わったばかりなのに、3月に東京と大阪で開催するとは、かなりハイペースですね。

平井まさあき(以下、平井) 『キングオブコント』で優勝するにはどうしたらいいかを考えたとき、たくさんネタをやるしかないな、ということになりまして。

浦井のりひろ(以下、浦井) なんの戦略もなく、そうなりました。昨年は隔月でやってたんですけど、吉本のホームページを見たら“毎月、単独を開催しているコンビ”みたいな書き方をされてまして。

平井 (笑)。吉本ってちょっと盛って言うから。

浦井 え? やってないのになぁって思ったんですけど、その誇張に合わせて毎月やろうかな、ということになりました。今後、より盛られて2週に1回、単独やってるとかになったらどうしようかとも思いますけど。

――年間1000本の新ネタを下ろしてる、とか言われだしたり?

平井 あははは! そうなったら、上澄み液みたいな薄~い会話だけの、ボケのないネタとかも出てきそうですね。

――大阪では7年ぶりの単独だそうですね。

平井 当時、好いてくれていた人が、まだ好いてくれているのか、もう忘れ去られているのかは気になります。上京して3~4年経ったころ、(よしもと)漫才劇場に出て『僕らのこと知ってる人』って聞いたんですけど、ひとりもいなかったですからね。

浦井 だから、ちょっと不安です。大阪から出てきたのに、大阪に帰って大スベり……それだけは避けたいです。

平井 それは怖い! 怖過ぎる!

――大ウケすることを祈っています。単独ライブまでの準備は、いつも早いほうですか?

浦井 どうなんでしょう? ほかの人の単独直前の感じとかを見てると、早いのかなと思いますけどね。平井がネタを書いてるんですけど、書くのが早いので3~4週間前くらいには、最初の段階のものは出来上がってるんです。

平井 大道具とかが必要だったり、お客さんが入ってくる最中にこんな明かりが欲しい、とかがあったりするんですけど、そういうのはスタッフさんが用意してくれはるじゃないですか。スタッフさんたちは、こういうコンセプトだったらこんな照明がいいんじゃないかとか、ここにスピーカーを置こうとか、いろいろと提案してくれはるので、そういうアドバイスをもらうためにも、なるべく早めに台本が出来上がってたほうがいいというか。早いほうがよりいい単独になるというのもあるので、早く上げるようにしてます。

――では、平井さんがガッツリと台本を書かれてから、浦井さんに渡されると。

平井 そうですね。ただ、どちらかというと一言一句違わずというよりかは、叩き台としてバーっと書いたものを渡して、あとはわりと雰囲気でやってます。

浦井 そういうものが多くなってきましたね。かっちりと台本通りは……もうセリフが憶えられない(笑)。

平井 そう、憶えられない。それに、自分の言葉でやったほうがパワーワードが出るんですよ。もちろんマストで言いたいとか、言ってほしいセリフっていうものもあるんですけど、わりとざっくりにしてツッコミも基本(浦井に)委ねています。そのほうが生き生きとできる感じがするんですよね。