窓から見える都庁がいつも勇気をくれた

25歳で初めて住んだマンションの家賃は7万円。当時はショーパブの社員として働いていたので、生活には困っていなかったが、毎日飲み歩いていたので、貯金はない。お金があったら、あっただけ使ってしまうクセは小さい頃から変わらないものだと思った。

マンションは東京都庁のすぐ近く。俺の部屋があった3階の窓からは都庁のタワーが見えた。目の前は高速の入口で、交通量が多く賑やかだったが、それさえも都心のど真ん中で暮らしているような気がして興奮した。

玄関を入るとすぐにキッチンがあって、8畳の1ルームでユニットバストイレ付き。そのマンションは、俺の部屋以外はオフィスだった。エアコンが設置されていたが、オフィス用のバカデカいもので、一人暮らしの俺は持て余した。夏は冷えすぎるし、冬は暖まりすぎる。

だが、窓際にドンキホーテで買ってきたベッドを置いて、好きなテレビをつけながら酒を飲むのは楽しかった。朝帰りしようが彼女を連れてこようが、文句を言ってくる人はいないからだ。

毎晩、ベッドの上で酒を飲みながら、 窓の外に目をやるようになった。高くそびえ立つ都庁は、俺にいつも勇気をくれた。

「芸能界で絶対に成功する」

何度も口に出した。西新宿から始まった俺の第二の青春。今でも都庁を見るたび、この頃のことを思い出す。

(構成:キンマサタカ)

『TAIGA晩成 ~史上初! 売れてない芸人自伝~』は、次回5/20(金)更新予定です。お楽しみに!!


プロフィール
TAIGA(たいが)
1975年生まれ。神奈川県出身。2005年『細かすぎて伝わらないモノマネ選手権』(フジテレビ)、2009年『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ)、2009年の『あらびき団』(TBS)、2014年の『R-1』決勝進出でプチブレイク。下積み時代が続く中、2020年の『オードリーさん、ぜひ会ってほしい人がいるんです。』(中京テレビ)、2021年の『アメトーーク!』(テレビ朝日)出演で再ブレイクの予感がする46歳。