突然の涙……愛来が号泣したその理由
ここまで来るとインタビューというよりも、アイドルヲタの戯言に近いものがあるが、こうやって連載を進めていく以上、避けては通れない問題だ。
すでにこの連載を閲覧してくださっている方はご存知だろうが、連載開始を前に彼女たちの写真を屋外、そしてスタジオで大量に撮り下ろしている。その取れ高はかなりのものがあり、これから随時、紹介していこうと思っているが、そうやってビジュアルを前面に打ち出した内容にすることも可能なだけ、写真のストックもある。
もし、愛来が「今のやり方がアメフラっシのスタイルなので」と答えていたら、そっち方面に舵を切るつもりでいたのだが、彼女の返答は意外なものだった。
「そうですよね。たしかにファンのみなさんにも、そうやって言われたことがないですもん。みなさん『楽しかったよ』『よかったよ』とは言ってくださるけど、『心を動かされた』みたいなことは言われたことはない。わかっているんです。本当はそれじゃいけないってことを、私も……」
そういうと愛来は大粒の涙をボロボロと流しはじめた。
インタビューを一旦、ストップしなくてはいけないぐらいの大泣きだった。
ただ、ちょっと残酷なことを言わせてもらえば、こういう姿を誰も見ていないところで見せるのではなく、お客さんの前で晒したほうがいいんじゃないか? ここまでボロボロになった姿を見せた上で「みんなでメジャーデビューを目指しましょう!」とアピールしたほうが、いろんな意味でファンとの一体感も生まれるし、それが新たなムーブメントにつながるような気もする。
「そうなんですよね。それもわかっているんですよ。でも、なんていうんですかね、プライドがあるっていうのとは違うんですけど、人前で泣くなんて恥ずかしいみたいな意識が私の中にはあって、もうここまで涙が来ていてもステージの上ではがんばって耐えちゃうんですよね。そして、その気持ちを誰にも伝えず、ずっとひとりで抱えこんだままにしちゃって、あとで爆発する、みたいな(苦笑)。いまではちゃんとメンバーにも正直に話せるようになったし、家に帰っても家族に話すようになったので、もう溜めこんだりはしないんですけど、うーん……お客さんの前で泣くことには抵抗がありますね、まだ。泣くことが恥ずかしいっていうよりも、失敗したり、挫折したぐらいで泣くことをみっともないと思ってしまうというか……」
ある意味、これは彼女なりの「美学」である。
それを貫き通すことはプロとして立派だが、結果として新規のファンを獲得するチャンスをみすみす逃しているのであれば、こんなにもったいない話もない。