鮮烈なデビュー以来、数々の輝かしい記録を残してきた坂本勇人が、今後の野球人生を占う岐路に立たされている。このまま数字は落ちていくのか? あるいは華々しい復活を遂げるのか? さまざな視点から考えていこう。

3度の怪我の離脱で陰りが見えたシーズン

2022年、坂本勇人(読売巨人軍)にはキャリアで最多となる3度の離脱があった。離脱の内容は下記のとおりである。

  • 3月21日の練習中に負傷をして「左内腹斜筋筋損傷」で開幕前に離脱
  • 4月30日の阪神戦の守備の際に負傷をして「右膝内側側副靱帯損傷」で離脱
  • 7月6日のヤクルト戦の打席内でのけぞった際に負傷をして「左内腹斜筋筋損傷」

2007年の一軍デビュー以来、これまでのキャリアでは、複数回の離脱こそなかったものの、2015年からは怪我が増えていき、昨シーズンも東京五輪前に離脱をしたため、日本代表の構想にも大きな影響を与えた。

今シーズンに関しては、さまざまな数字や数値が悪化している。特に打撃においてはその傾向が顕著で、2008年のレギュラー定着後、打点数(31)がワーストとなるのは濃厚で、本塁打数(5 ※いずれも9月20日現在)もこのままいけば、打点と同様にワーストの結果に終わるだろう(レギュラーを掴んだ2年目の2008年シーズンは8本塁打、43打点)。

プレー中の怪我が多かった影響からか、守備範囲も以前ほどの広さは感じられずにいる。守備に関しては、疲労がない状態であればしっかり動けている印象だが、試合に出続けるとほとんど足が動かなることが懸念材料だ。そのため、遊撃手としては“陰り”が見えたシーズンでもあったのは間違いない。

今後の坂本の起用における重要課題“真夏”と“休養”

今後の起用におけるポイントは、いかに休ませながら起用できるか、そして守備の負担をいかに減らすことができるかだ。それにより、怪我のリスク回避はもちろんのこと、打撃の調子が急下降することもなくなることが期待できる。

これまでのシーズンを振り返ってみると、怪我による離脱こそなかったものの、夏場には弱く(特に開幕前またはシーズン中に国際大会がある年)、毎年のように打撃の調子が下降する傾向が見られる。

顕著な例は、2013年のシーズンだ。規定打席到達時点で打率.303を記録していたが、最終的な打率が.265にまで下降した。2017年シーズンも7月は打率.352と調子が良かったものの、暑さが増す8月には打率.221と急下降し、9月と10月も平均打率.が208まで落ち込み、トータルでは3割を切る不本意なシーズンとなった。

昨年の8月も、東京五輪の疲れなどが見られ打率.259だった。9月になって打率.352と息を吹き返したが、10月になると息切れをして最終的に打率.167と低迷した。真夏に成績が下降する原因は、疲れが出始めること、コンディションが低下することにより、下半身に粘りがなくなることだろう。来年もWBCの日本代表に選ばれる可能性は高いため、この点は改善していかなければならないポイントである。

年齢もすでに30代中盤に差し掛かろうとしている。誰もが直面するこの点から見ても、首脳陣がうまく休ませながら坂本を起用をしていくことが、パフォーマンスを維持していくポイントになっていくだろう。

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