過去に例を見ないほど、激しいMVP争いを繰り広げている大谷翔平選手とアーロン・ジャッジ選手。そんな二人がチームメイトになれば、ワールドシリーズ制覇が一気に現実のものとなるのは間違いありません。今回のその可能性を探ってみました。

大谷翔平選手がヤンキースへ移籍する可能性はあるのか?

恋愛って難しいよね。どう考えても一緒にいるべき人同士が一緒にいれない。ある人が熱烈に好意を寄せているのに、想いの相手が全く見向きもしない。ある人が何人かに好意を寄せられているのに、その人は自分に好意を寄せていない人にしか興味がない。第三者からしたら、なぜあの人は結果的にあの人と結ばれたのか、いったい何を魅力に感じたか。

MLBのFA・トレード市場※※も一緒です。生え抜きの地元スターがキャリアを地元球団で全うしたいのに、球団の財政状況が厳しく満足な年俸が払えないがゆえに、他球団へトレード放出をせざるをえない。ようやくFA権を取得したスーパースターが、幼少期からの憧れのチームへ行きたいのに、チーム編成上、合致せずにオファーすらもらえない、一方で、その裏には喉から手が出るほど欲しがるチームは腐るほどいる。カブスの生え抜きスターだったクリス・ブライアントが、残留を希望しながらもロッキーズと契約をすることになったのが、その一例でしょう。

※FA=Free Agent(フリーエージェント)
所属チームとの契約が解消され、名前通り自由にどのチームとの契約を出来る状態の選手を指す。MLBでは全ての選手は通算6年プレーした後のオフシーズンに自動的にFAになる(NPBの「FA宣言」は存在しない)。FAまでの6年間は選手の年俸は年俸調停というプロセスで決まり、制度上ある程度金額が制限されるものの、FAの際は市場原理に沿って年俸が決まるので、需要の高いスター選手は市場価値が高く、結果的に高額の大型契約を締結することが多い。

※※トレードはチーム間で選手を交換することを指す。
MLBでは予算に余裕がないチームはスター選手をFA 1~2年前にトレード放出し、対価として若手有望株を獲得する傾向がある。放出側としてはスター選手にFAとして退団されるよりは、少し早めに放出をして少しでも対価を貰う方が理に適っている、というロジックが働いている。またシーズンオフにFAやトレードで選手がチーム間を移籍する「市場」はストーブリーグとも呼ばれる。

というように、FA・トレードって本当に想像どおりいきません。ファンやメディアは毎年毎年、「この選手は金持ち球団の〇〇に行くだろう!」「この選手は地元球団の〇〇に凱旋するだろう!」「この選手はうちの贔屓に来る!」などと、うんちくを重ね、希望的観測をドヤ顔で語るものの、シーズン終了後にフタを開けてみると、ほぼすべて間違っています。

さて、前置きはこれくらいとして。今季オフ、最も去就が注目されている選手が2名います。それは、ニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジ選手、そしてロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手です。

ジャッジ選手は今季オフにFAになる予定で、彼も名門ヤンキースに残るか、生まれ故郷(カリフォルニア)のサンフランシスコ・ジャイアンツへ移籍をするか、それとも同じニューヨークに残りながらクロスタウンの金満メッツへ移籍をするか。今シーズン前、ジャッジはヤンキースからの7年2億1350万ドル(≒約307億5000万円)の契約延長を断っており、10年規模の大型契約が予想されるなか、彼の動向が後続のFA相場を大きく変動させると思われます。

そして、大谷選手はどうでしょう。大谷選手は今季ではなく来季オフにFA取得予定も、エンゼルスが大不振に陥ってしまっているため、チームの根本的な改革が必要である点、そしてエンゼルス球団が売却される可能性があがっている点を踏まえ(つまり売却前に大型契約締結などの大きい動きはしづらい)、今オフにまずトレード放出されるのではと噂されています。トレード放出されないにしても、来季オフにはFAになるので1年強以内には、どこかしらのチームと新しい契約を結ぶことになります。

そこで最近(筆者はヤンキースファンなので)よく聞かれることが、「大谷選手がヤンキースへ移籍する可能性はあるの?」というグッドクエスチョン。しかし、答えは「たぶんNO」です。もちろん、大谷選手のような逸材、スーパースターを欲しくないチームなんてないですし、MLB最大の名門球団であるヤンキースに、これ以上お似合いのスーパースターはいないと思います。アメフト部のキャプテンとヘッドチアリーダーがお付き合いをする既定路線並みに、お似合いではないでしょうか(※筆者の個人的所見)。

日本のMLBファンで、松井秀喜選手、イチロー選手、黒田博樹投手、田中将大投手などなど、数多くの日本人選手が活躍をしたヤンキースで戦う大谷選手を見たい方は多いと思います(ちなみに、ヤンキースはその圧倒的なブランド力から、アメリカではニューヨーク以外の地域では基本嫌われているので、その他の州ではほとんど「ヤンキースの大谷を見たい」という人はいないと思われます)。