もはや女性が耐える時代ではない。不幸な結婚生活、抑圧された結婚生活にくたびれてしまうなら、別れの道を選ぶのも手。 離婚問題を知り尽くした現場最前線の弁護士が「くたびれない」ための離婚の知識とノウハウを伝授します。今回は離婚請求を優位に進めることができる、「最強」の離婚原因について解説します。

※本記事は、吉成安友:著『くたびれない離婚』(ワニブックス刊)より、一部を抜粋編集したものです。

「証明ができない」という離婚のハードル

DV、モラハラ、セックスレス……という離婚原因の問題は、相手が嘘をついて事実を否定した場合に、こちらで証明ができないと離婚ができないということです。

特にモラハラなどは、DVに勝るとも劣らず人を傷つけ、追い込んでいくのですが、なに分、言葉などの問題であるため、証拠がないということも少なくありません。当初は激しいモラハラがあったけれど、萎縮して逆らえなくなってしまって、ただただ気を遣い、その結果としてあまり激しいモラハラがなくなっているということがあります。

ただちょっと相手の表情が変わったり、語気が少しきつくなりかけたりしただけで、ビクッとして本当に針のむしろに座っているような生活に。しかし、表面的には大きな事が起こってないので、主張、立証が難しい…。

それから、同様に問題なのが、露骨ではないモラハラのパターンです。露骨な罵倒、人格否定発言などはないのだけれど、ちょっとした物の言い方がきつかったり、冷たかったり、万事において配慮や気遣いがなかったりで、本人としては心を傷つけられていっているというパターンです。

証拠という意味でも通常のモラハラ以上になかなか残らず、人に説明しようとしてもなかなか「モラハラ」とは分かってもらえないのだけれど、心ない言動、思いやりのない言動に傷つけられ、本人としてはもう我慢できないというレベルに達しているようなこともあります。こうした場合、ずっと離婚ができないのか? 実はそんなことはありません。

「3年間の別居」という最強の離婚原因

別居が一定期間継続すれば、婚姻の破綻を認定され、離婚請求が認容されるのです。では、どの程度別居期間が継続すれば離婚が認められるかということですが、これは法律上明記されているわけではありませんし、確立した判例があるわけでもありません。

しかし、一般には3年間というのが目安となると考えられます。様々なメディアで弁護士が離婚問題についてコメントしているのをみると、離婚が認められるまでの別居期間を5年くらいとしている先生もおられます。

ただ、近時の現場の裁判官の意識としては、3年くらいで破綻を認めるというのが今の流れではないかと思います。実際、私が離婚訴訟、調停で裁判官と話をする際、裁判官から別居3年で離婚になるという言葉をしばしば聞いています。

また、以前弁護士会で開催された家庭裁判所のベテラン裁判官の講演でも、別居期間が3年間に達していれば安心して離婚の判決が書けると明言されておられました。

3年間の別居の事実さえあれば、具体的な婚姻の経緯、事情等について証明する必要がない、しかも相手方に非があることさえ必要がない。3年間の別居は、ある意味、まさに「最強の離婚原因」と言えるのではないでしょうか。