相手が同居を望んでいるのに、家出する場合は?

では、夫婦の一方が同居を希望しているのに、他方が家を出て別居をして、3年の期間が経った場合は、どうなるのでしょうか? もし、家を出た方が有責配偶者ということになれば、簡単には離婚請求が認められないということになります。

こうしたケースについて、横浜地裁昭和59年7月30日判決は、「原告の勝気でやや自己中心的ともみえる行動が婚姻関係を破綻に導いた一因であることは否定できない」としながらも、被告が一方的に自分の意見を押し付けるばかりで、原告の話に耳を傾けようとしなかったことなどから、対話による関係修復の可能性はなかったとして、原告の態度のみを非難することは相当でないとし、離婚請求を認めています。

このように、家を出るに至る事情として、一方的に非があるということでなければ、有責配偶者とはならず、別居が続くことにより、離婚請求が認められうると考えられます。

※本記事は、本書が発売された2016年6月当時の内容です。その後、あらたな判例が出たり、民放の改正あるいは修正協議がなされていたりする可能性もありますので、実際に離婚で悩んでいる方は、著者の吉成安友弁護士など法律家に相談してください。