任天堂の志に共感!?

――あと、染谷さんのプロフィールを見て、引っかかったのが好きなものに、脱出ゲームやサウナなどと同列に『ゼルダの伝説』があって、TVゲームと書く人はいても、タイトルを書く人って珍しいなって。

染谷 (笑)。大好きなんです。趣味でいうと、ゼルダが一番最近ハマったものですね。任天堂という会社の歴史として、新しい機種を出すときには、まずそのハードの性能をフルに使えるかどうか確認する試金石として、ゼルダを出すらしくて。単純にゲームとして面白いのも当然なんですけど、その志もいいなあって。

――たしかに、先ほどの「日々挑戦」っていうのと近いですね。

染谷 天才プログラマーとして多くの名作ゲームを生み出した岩田聡さんの言葉をまとめた『岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。』という本を読んだのですが、それもゼルダというゲームが面白すぎて、任天堂という会社に興味を持ったことから、岩田さんにたどり着きました。そこから『MOTHER』シリーズもプレイして。もしかすると子どもの頃に触れていたら、ただ面白いゲームとして通過してしまったかもしれないんですが、やることを全てやってしまった、みたいな喪失感のときに、2~3週間ずっとゲームをしていたんです。もう、もろにガッツリ食らっちゃって。

――岩田さん、残念ながら亡くなってしまったんですが、本当に伝説的なプログラマーですもんね。

染谷 そうなんです。ついこの前も『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の続編が年内に出る予定だったんですが、ちょっと納得がいかないから、来年の5月に延期しますって発表して。たしかに残念だけど、中途半端なものを出すなら、納得いくものを出したい。延期すればするほどハードルは上がるけど、それを超える自信があっての行動だと思うんです。わあ、かっこいい、私も任天堂みたいになりたい!って。

――あはははは!(笑) でも、たしかに染谷さんにはグラビア界の任天堂でいてほしいですね。皆さんが紙の写真集から撤退しても、染谷さんは紙の写真集にこだわってほしい。

染谷 いいですね! グラビア界の任天堂!

――何か公式でお仕事をできたらいいですね…!

染谷 えー! いやいや、そんな……でも、やれるならぜひやりたいです! ニンテンドーダイレクトの番組とかめちゃくちゃ見てるので!(笑)

悩んでいた染谷有香を救った言葉

――SNSなどを見ていたら、染谷さんは言葉を大切にしている印象を受けるのですが、これまでの人生で一番感銘を受けた言葉はありますか?

染谷 言葉ですか……私、千葉県出身なんですけど、ディズニーシーで「ファンタズミック!」というショーがあって、たくさんのディズニーキャラが登場するんですが、後半にヴィランが登場して、ミッキーに襲いかかるんです。そこで、ミッキーが「君がどんなに強くても、これは僕の夢なんだ! 」というシーンがあって、高3の頃に進路に迷って、“どうしよう、就職しようかな”と思ったときに、このショーを見て“そうだよな、これは僕の夢だよな”と思って。圧倒的なショーを見せられたあとに、シンプルな言葉をもらったので、余計に染みたというか。

――染谷さん、漫画の『BLUE GIANT』も好きですもんね、好きなものをまっすぐに好きな作品や言葉に心奪われるのはよくわかります。

染谷 でも……なんかお話していてちょっと違うな、と思っちゃいました、人に直接言われた言葉のほうがいいですよね?

――あ、いえいえ、今のも十分でしたよ!(笑)

染谷 いや、言わせてください(笑)。27~8歳くらいの頃なんですけど、今の事務所に入る前、芸能活動を続けるかどうか迷ってたんです。そんなときに飲みに行った先で、たまたまいた方に「なんで続けてるの? 好きだから続けてるんでしょ? じゃあ続ければ?」ってすごく軽い感じで言われて。正直、言葉自体も普通の言葉だし、その人自体の素性もよくわからなかったんですけど……(笑)。

――急に治安が悪くなった!(笑)

染谷 いや、でもそんな変なことはないですよ(笑)。そのお店は私が常連で、そこのマスターが「この子、悩んでるみたいなんだよ」って紹介してくれて。なんか自然と“そっか、そうだよな”って思えたんです。

――でも、そういうときってありますよね、自分では踏み出せなくて、誰かにちょっと背中を押してほしいとき。

染谷 そうですね、なんか妙にストンと腑に落ちて。

――というか、染谷さんが辞めたいと思ってたことがあったんだ、というのが衝撃でした。

染谷 今は好きなことをお仕事にさせていただいているので、すごく楽しいんですけど、いろいろ考えすぎてしまうので、悩んでいた時期はありましたね。