アーティストでもあり俳優でもある高野洸が、対談を通してアートの世界に触れ、表現を学ぶ「お訪ねアトリエ」。
第7回のゲストは三ツ目重工のSRIMIN(すりみん)さんです。
マルチクリエイター、三ツ目重工のSRIMINさん。
前編では、現在のスタイルとなった原点のお話や、SRIMINさんの特徴とも言えるアクリルカット+3Dプリントについてのお話を伺いました。
今までで一番大変だった作品とは? またSRIMINさんの今後の展望とはいったいなんなのでしょうか。
自分の作品は自分のもの
高野:今までで一番完成させるのに大変だった作品はどんなものだったんですか?
SRIMIN:ちょうど昨年末、直近の個展の話になるんですが今回本物のブリスター入りのフィギュアフォーマットをどうしても作りたくて、その開発が結構大変でした。
どういうものなら実現できるか何ヶ月もかけて試行錯誤してキャラクターの形状を作ったり、部品構成や設計を考える中で、本物のブリスター入りフィギュアを作るならブリスターケース本体や台紙など外注の部品を使う必要がありまして。特にブリスターケース本体の最低発注ロットが1000枚からとかなんで、そこの選定と発注にちょっと勇気が要りました。
高野:なるほど。個数とのバランスとかもあるからそれは大変ですね。
SRIMIN:そうなんです。バランスが全然取れなくて。台紙も100枚刷っても200枚刷っても金額変わらないよ、とか、、なので、これを作るための投資を昨年はがんばりました。
高野:そうなんですね。でもやはりこだわられただけあって本当に素敵です! 1体1体違うんですよね。バリエーション違いも出されていて大変ですよね。
SRIMIN:そうなんです。今回顔と髪型とその掛け合わせで同じものが存在しないっていうものを55体ぐらい作りました。
高野:55体も!
SRIMIN:これはまあまあ大変でした。
高野:すごいですね! どれもが世界に一つの作品ってことですよね。
SRIMIN:そうですね。このフィギュア顔や髪の部分が平面でできていて。本体は立体で顔や髪の部分だけ平面のフィギュアフォーマットってあんまりないと思うんです。自分はイラストを見るのが趣味の一つで、お気に入りのイラストレーターさんの新しい作品とかをチェックしている方なんですが、その趣味と掛け合わせて、イラストレーターさんと気軽にコラボレーションができるフィギュアのフォーマットが作りたくてあえて平面の部品を設計に盛り込んだフィギュアを作りました。
普通、イラストをフィギュア化するってかなり時間がかかるじゃないですか、今回自分が作ったフォーマットはイラスト下絵をフィギュア化する際の時間や工数がかなり短縮でき、かつイラストの持つイメージを崩さずにフィギュア化できるというメリットがあります。
高野:お気に入りのイラストレーターさんの作品がフィギュア化されたら、絶対欲しくなります!
SRIMIN:今は第一弾なので一旦自分がその顔とか髪型のデザインをしているけれど、今後はコラボの作家さんのものを増やしていきたいと思っていて。素体は同じものを使いつつ全然雰囲気の違うフィギュアとかそういうのを展開していけたらいいなって思っています。
高野:それは素敵ですね。たぶんイラストレーターさんは立体物作ろうなんて頭にない方いっぱいいるから、自分の絵がこうやって立体物になってグッズ化できたら嬉しいですよね。
SRIMIN:なので、イラストのフィギュア化可能性の一つとして、気軽なフォーマットとしてこれを活用いただければなって願いを込めて作りました。
高野:とても将来性を感じるアイデアですね。そのフォーマットがあって、いろんなデザインやイラストとコラボしていける展開だったら。
SRIMIN:そうですね。そういうのをやりたいと思っています。やっぱり自分だけで表現できる世界の限界ってあると思うんで。そこを超えて、コラボの作家さんが多彩に表現してくれたら、自分もそれで恩恵が受けられるようになるんじゃないかなっていうことに現状可能性を感じています。若い頃には思いつかなかったような考えが、最近ようやく考えられるようになったというか。
高野:そうなんですね。昔はそんなに別にコラボに興味はなかったんですね。
SRIMIN:少しはやってはいたんですけど、やっぱり自分の作品は自分のものでしょっていう考えがどうしても強くて。今はちょっと丸くなったんですかね(笑)。
高野:経験や年齢を重ねて変わっていかれたんですね。
SRIMIN:年齢を重ねるにつれて自分のできる所はここだからっていうのが、より明確化してきたと思います。自分で出来ない部分は他の作家さんにお願いして、一緒に頑張っていけるものを作れたらいいなっていうのもあって。フィギュアの下絵を作家さんに描いてもらう以外にも、例えばグラフィックデザイナーの方にグラフィックを考えてもらったりとか。
高野:コラボすることで新たにこういうこともできるよね、みたいな。
SRIMIN:はい、最近はそういうことも考えていますね。
高野:ちなみに依頼を受けてのお仕事として物を作ることとかは、やられたりされるんですか?
SRIMIN:それは基本的にはやっていなくて。自分の中では三ツ目重工は副業として、なるべく自分のやりたいことをやりたいなっていうのがあって。ただ知り合いの作家さんに頼まれたりしたらアイデアを提供したりとか、うちの機材を使って何か作るみたいな話をしたりっていうのはたまにあります。
高野:作ろうと思っていたものが作れないのは、ちょっとやっている意味が変わってきちゃいますもんね。
SRIMIN:そのへんがいい塩梅とれればいいんですけど。なかなか難しい時もありますね。
高野:過去に作ったものを展示するとか。そういうことはやらないんですか。
SRIMIN:以前、1~2回ぐらいアーカイブ展みたいなのを実はやっていまして、それから期間は経っているんで、またやってもいいのかななんて思いつつ。結構手元に残ってないものが多くて。とっておけばいいんですけど、人にあげちゃったりサンプルも取っておかず売り切れたりとかっていうことが多くてコレクションが歯抜けなんですよね(笑)。
高野:知り合いが持っていたら一定期間借りて展示するとか、そういうことになりますね。もしやるなら、これらが一堂に並んでいたらすご楽しそうです!
SRIMIN:これがなかなか個展会場でやるとなると難しくて。一つ一つの作品が結構ちっちゃいのであんまり壁映えしないのかなっていうのもあって。さらに実際ギャラリーで作品を見ると自宅で見るより小さく見えるんです。だからなるべく大きなものを作りたくて、今回のブリスター入りフィギュアも作ってみたっていうこともあります。


高野洸




