小柄なファンタジスタがピッチで躍動!
エースが抜けてどうすんねん……となったナポリの新エースがインシーニェ。そして、そこに現れたのが、サッリという監督でした。
サッリはナポリ生まれで元銀行員という特殊な経歴の監督です。フィクションでもあんまりないよ、そんな設定。そしてナポリの監督に就任したこの年、世界一の監督であるグアルディオラ(現マンチェスター・シティ監督)から「欧州で最も美しいサッカーをする」と言われるチームを作り上げます。
そんなチームのエース、インシーニェの特徴といえば、上手い! 速い! そして小さい! 身長163cm!
僕は大きいディフェンダーをテクニックで翻弄する小柄なファンタジスタが好きなのです。さらに地元育ちでナポリ一筋という愛され要素満載です。何より僕を魅了したのが、移籍したイグアインの穴の埋め方です。
サッリ監督は、本来であれば大柄な選手を置くことが多い最前線に、169cmのベルギー人FWメルテンス(現ガラタサライ)を起用。メルテンスとインシーニェの小柄コンビが、テクニックと連携で相手を翻弄しまくり勝ち点を積み重ねていったのです。
そしてリーグ終盤。主力は強いけど、スラムダンクの湘北くらい層が薄かった当時のナポリは、怪我人が続出。しかし、そこでサブ組だった選手たちが、次々と大事なゴールを決めたのです。もう木暮先輩じゃん。
そして首位ユベントスとの一騎打ちに挑みます。勝てば勝ち点差1に迫れる一戦。そしてユベントスのエースは、去年までナポリから引き抜いたイグアイン! 激アツ!!! この試合でナポリは勝利し、6連覇中のユベントスを追い詰めたのです!
そして! 次の試合であっけなく敗れて、優勝の夢は潰えました。山王戦後かよ。
その後、ナポリはサッリ監督が他のクラブに引き抜かれると、美しかったサッカーも緩やかに普通のサッカーに。僕のナポリ熱も冷めそうになっていた昨年、再び強いナポリが帰ってきました。
名実ともにエースでキャプテンとなっていたインシーニェが栄冠を勝ち取り、ナポリの街にマラドーナ以来の英雄が生まれる、そんな姿をリアルに描けるほどに。
リーグ戦は終盤に入り、首位ACミラン、2位インテル、3位ナポリの三つ巴の様相。そしてシーズン最終盤、ついにナポリは勝てば首位に立てる状況に。
しかし対戦相手のラツィオは、美しいパスサッカーで立ちはだかります。ラツィオは僕が好きになった頃のナポリにどこか似ていて、面白いです。それもそのはず。ラツィオの監督はあのサッリです。ここで立ちはだかるかね。
試合は、インシーニェのゴールで先制! ですが、終了間際に同点に追いつかれてしまいます。今まで幾度となく見てきた追いつかれるナポリ。アディショナルタイムも残り1分。そんな苦しい状況のなか、インシーニェのアシストから勝ち越しゴールを決めたのです! 2対1で勝利! 僕が見てきて、初めてナポリがシーズン最終盤に首位に立ちました!
そして翌週! ACミランに敗れ、その後は一度も首位に立つことなく3位でシーズン終了。なんでやねん。
シーズンの途中で、このシーズンを最後にアメリカのトロントFCへ移籍することを発表していたインシーニェは、マラドーナにはなれずに少し後味悪くナポリの街を去ったのでした。
そして僕も、インシーニェもクリバリ(現チェルシー)もいなくなったしもういいや!! ナポリは卒業! もう見ない!! と誓った今シーズン。
ナポリがセリエAでダントツ首位を走っています。なんでやねん。おまけにCLのグループリーグも勝点15(5勝1分)という完璧な成績。
僕は見ないと誓ってしまったため、この強いナポリを一度も見てませんが、めっちゃ強いらしいので皆さんはマラドーナ以来のスクデットをもたらす“誰か”をぜひ見てみてはいかがでしょうか。
では、今日はこの辺で!