佐藤佑樹(Vo、G)、河田一真(G、Key)、日原大吾(Ba)、鈴木優真(Dr)の4人からなるロックバンド・anewhiteが、3月15日に3rd EP『anew』をリリースした。同作に収録され、冬のラブソングとして熱心なリスナーはもちろん、彼らを知らない層にも広まった「君と月、会いたい夜に。」など7曲が収録されている。

歌詞も緻密な掛詞で作られているこの曲の創作秘話、そして2022年の振り返りとこれからに向けての展望をメンバー全員にインタビューした。

大変だったけど最後まで歌詞に向き合った曲

――anewhiteってすごくいい曲を書くバンド、というのは根本にあるんですけど。今回の『anew』のなかでも、昨年末に配信リリースされた「君と月、会いたい夜に。」に強く心惹かれて。とにかく歌詞に時間がかかったと思うんですが、どういう経緯でできた曲なんですか?

佐藤佑樹(以下、佐藤) まずメロディーがあったんです。全然違う歌詞で書いてた曲なんですけど、いいタイトルが思いついたので、それをもともとあった楽曲にすり合わせました。

河田一真(以下、河田) もともとあったメロディーとコードが、ちょっと明るい感じだったので、それを“冬のちょっと切ない感じの恋愛の曲にしようか”となったときに、そっちに持ってくるのが難しくて……。ピアノを入れたり、サウンド面で工夫しました。

――間奏とか、冬感があるなと思いました。冬の高い空って感じがあって、あのジャケットに引っ張られているのかもしれないですが…(笑)。

一同 (笑)。

――すごく綺麗な曲って印象があったのと、特にベースとドラムがいいなと思いました。

日原大吾、鈴木優真(以下、日原、鈴木) ありがとうございます!

鈴木 ドラムとベースは各々が音作りしているんですけど、歌を聞かせたいという思いが年々強くなってきているので、昔の曲に比べるとシンプルになっていると思います。ただ、音で主張したいという思いもあるので、音作りのニュアンスは非常にこだわりました。

日原 僕は今回、(河田)一真と一緒に“ここはこうしてほしい”って意見を聞いて、音作りをしました。ギターとベースのユニゾンがあったり、同じフレーズを弾けたのは、意見の交換があったからこそできたことなので。最近は、特にそういうところを意識して作ってます。

――逆に言うと、これまではそこを意識せず、あんなアンサンブルを表現できていたんだっていうのが驚きです、マジすげえなanewhiteっていう!

一同 やった! ありがとうございます(笑)。

――先ほど“いいタイトルが思いついた”とおっしゃってましたが、歌詞よりタイトルが先ですか?

佐藤 はい、タイトルが先ですね。

――本当ですか? このタイトルでこういう掛詞を使うと大変そうですが。

佐藤 おっしゃるとおり、大変でした。ただ、小説みたいなタイトルにしたかったんですよね。少し面白みをもたせたくて。

――でも、この曲、ちゃんと最後までしっかり掛かってるし、反語っぽいところもあって。途中で、もういいやって投げ出したくなる瞬間があったんじゃないかなって。

佐藤 基本的に、歌詞は“なんとなく”じゃなくて、ちゃんと詰めないとって思っていて。なので、そこは投げ出さないように頑張りました。

〇anewhite「君と月、会いたい夜に。」MV

――素晴らしいですね。ちなみに、河田さんは歌詞をあまり覚えていないことが判明しましたけど……。

一同 (笑)。

佐藤 まさにこの曲ですよ! なんなら一番聴いてると思うんだけど(笑)。

河田 覚えてなかったですね…(笑)。

――マンガのアシスタントでも、優秀な方ほど内容を読んでないって言いますよね。

佐藤 いいように解釈してくださってる(笑)。

河田 いい感じの理由、それでいきましょう(笑)。