投手陣もWBC球への対応・シーズン前の調整に課題
投手陣に関しては、ボールへの対応力に差が生じている。
そのなかで、昨シーズンの新人王に輝いた大勢は、ボールに適応しながら強度のあるボールを投げられている。そのため、大勢から栗林良吏へのリレーは完璧な状態でつないでいきたいところだ。
先発陣を見ると、ダルビッシュ有が実戦形式で不安を残す内容だった。
先発が予想される韓国戦は、2009年のWBCでも登板していた。その試合では、初回に連打やエラーでいきなり3点を失い、負け投手となった。また決勝戦にも登板したが、最終回に追いつかれている。残りの時間で調子をあげていき、韓国戦で圧倒的なピッチングを披露してほしいところである。
また、フォームを変えた山本由伸も不安が残る内容だった。山本に関しては、プレミア12や東京五輪も経験しているため、ボールへの適応は問題ないと思われる。しかし、クイックに近いフォームに変える前のほうが良かったように見える。
初戦となる3月9日(木)の中国戦で登板が予想される大谷は、世界を相手にどれだけ圧巻のピッチングを見せるかが注目だ。さらに、この試合は二刀流としての出場が濃厚となっている。二刀流として国際大会の出場は初となるため、投打でのパフォーマンスに期待していきたい。
そして、国際大会デビューが迫る佐々木朗希は、強化試合で自身最速となる165km/hを記録するなど調子は上々である。ただ、若さゆえに力みなどが出た際に甘く入ったボールを痛打されることには注意が必要だ。
ライバル・韓国は代表常連組とメジャーリーガーで構成
日本は3月10日(金)の2戦目に韓国と対戦となる。
一次ラウンドでの日本のライバルは、なんといってもプレミア12や東京五輪でもしのぎを削った韓国だろう。これまでのWBCを見ても、第一回大会や第二回大会では、日本にも勝利している。
韓国は2013年大会と2017年大会、2年連続で一次ラウンド敗退となった。そうしたなかで臨む今大会はメジャーリーガーを招集する。
そのメジャーリーガーとは、金河成(キム・ハソン/サンディエゴ・パドレス)と韓国系米国人の母を持つトミー・エドマン(セントルイス・カージナルス)だ。この2人が二遊間を組むとも言われている。
エドマンはメジャーでゴールドグラブ賞獲得の経験がある選手だ。
金河成は遊撃手でありながら、KBO時代はシーズン30本塁打を記録している。国際大会の日本戦では、2019年のプレミア12の決勝戦で山口俊からホームランを放っている。
ちなみに、メジャーリーグではダルビッシュとチームメイトである。そのため、韓国戦で先発が予想されるダルビッシュとの対戦は注目度も高くなるだろう。
この二遊間が中心となるが、実戦にはほとんど出場できないまま開幕することが懸念材料である。センターラインが実戦から間もないなかで開幕することになり、2戦目の日本戦でどこまで試合勘を取り戻せるかがポイントとなりそうだ。
また、かつて中日に所属していた李鍾範(イ・ジョンボム)の息子である李政厚(イ・ジョンフ)にも注目だ。
類稀なセンスを持った野手で、2017年に韓国リーグで新人王に輝き、プロ入りから3割を常に記録。KBOで2年連続首位打者に輝いている。
東京五輪では、山本由伸からフェンス直撃のヒットを含む2安打を放っており、初見でも難なくコンタクトできる能力はずば抜けているだろう。
さらに、2度の五輪やWBC、プレミア12を経験している元メジャーリーガーの金賢洙(キム・ヒョンス)は、国際大会を知る選手である。
ボールへのコンタクト力が抜けており、厄介な打者である。北京五輪では岩瀬仁紀から決勝タイムリーを放ち、2009年のWBCではベストナインにも輝いている。
さらに、2015年のプレミア12では大会MVPに輝いており、国際大会での勝負強さは頭ひとつ抜けている。間違いなく、注意すべき打者だ。
投手は国際大会で経験豊富な金廣鉉(キム・グァンヒョン)が牽引しそうである。金廣鉉に関しては、北京五輪で日本打線を徹底的に抑えたが、その後の2009年WBCや2015年プレミア12の日本戦で打ち込まれている。
宿敵・韓国にどういった戦いを日本が見せるかも大きな注目の一つだ。
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メジャー組が合流した強化試合の阪神戦・オリックス戦では、打線の調子が上向いているように感じた。
本戦では一次ラウンドは全勝で、準々決勝に勝ち進みたいところだ。
いよいよ明日から熱戦の火ぶたが切られる。第二回大会以来となる優勝に向けて侍ジャパンがどんな戦いを見せてくれるのか、非常に楽しみである。