大会直前に鈴木誠也が怪我で辞退・・・

今大会は複数人のメジャーリーガーを招集し、国内組含めて投打ともに歴代最強と呼ばれる布陣である。

しかし、大会直前に鈴木誠也が脇腹を痛め、代表を辞退することになった。

そのため、主力打者はメジャーリーグでも活躍する大谷翔平はもちろんのこと、三冠王・村上宗隆や吉田正尚など左打者に偏る傾向になった。

ここまでトップクラスの左打者が並ぶとなると、山田哲人や牧秀悟、山川穂高、岡本和真といった右打者がポイントになっていくだろう。

鈴木の場合は、山田と同様に2017年WBCからプレミア12、東京五輪といった大会に出場していることから、国際大会の経験があるメンバーとしても期待されていた。

貴重な右打者、かつ国際大会の経験が豊富な鈴木を欠いた日本は、少なからず新しい戦い方を強いられることになるだろう。

打力に定評があるユーティリティプレイヤー・牧原大成

鈴木が辞退したことにより、牧原大成が追加招集された。今大会の代表ではユーティリティと呼べる選手が、足のスペシャリストとして期待される周東佑京のみだったため、大きな戦力になりそうだ。

牧原の場合は、ユーティリティプレイヤーでありながら打力も代表レベルで、昨シーズンは規定打席に2打席届かなかったものの、打率.301を記録した。

この牧原を起用するのも、一つの手段として面白い選択肢だろう。

ただ、急な招集のために調整も急ピッチにしていかなければならない。この状況でも牧原の思いきりの良さや高い水準で各ポジションを守れる守備力は、大きな武器になるに違いない。

打線の調子とメジャー組の試合勘の兼ね合いは?

現在の代表を見ると、打線の調子が心配なのは否めない。

プロ野球のシーズンの性質上、春先は生きたボールについていけないことは多々あるが、WBCがあるシーズンは早めの調整が必要である。打者たちは、この時期に強度があるボールに対応できるようにしなければならない。

ここまでの実戦を振り返ると、主砲として期待される村上の調子が上がらないことが懸念材料だ。昨シーズン三冠王に輝いた主砲は、代表としては初の主軸となる大会である。

東京五輪の決勝では、金メダル獲得を大きく手繰りよせるホームランを放ったが、打順は下位だった。そのときの代表は、坂本勇人や柳田悠岐、菊池涼介、浅村栄斗、山田哲人といった中堅からベテランが主軸としてチームを引っ張った。

今回は主軸としての役割もあるため、大きなプレッシャーが足枷になっていないかも心配な点である。オリックス戦のようにプレッシャーがかからない6番あたりに置いて、伸び伸びと打たせるのも一つの手段だろう。

またメジャー組の実戦が、実質ぶっつけ本番なのも懸念材料の一つだ。

慣れない春先に生きたボールを打席で見られないまま大会に臨むとなると、身体がついてこないまま一次ラウンドが終わることも可能性としてはなくはない。

そのため、初戦の中国戦でどれだけ打席に立てるかがポイントになっていくだろう。ライバル韓国も二遊間がぶっつけ本番に近い状態となるが、実戦の場数が少ないメジャー組が初戦でどれだけ慣れるかが、日韓戦のポイントになっていくと見ている。